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新潮社「波」H20年5月号、「パリの日本人」鹿島茂、第3回より。「やんちゃ孤独」(東久邇稔彦著、1955、読売文庫)
東久邇宮稔彦は1920年からフランスに留学し、フランス陸軍大学を卒業した。フランスに行った最初の頃、
ペタン元帥に会った。いきなり「日本は日米戦争をやるのか」と聞いてきたのでびっくりした。「日本では
対米戦争などまったく想定さえされていない」と答えると、ペタンは「それはウソだ」といって笑った。
2回目の会見でも「アメリカは。お前の国をうつかも知れないからよほど用心しなければならない」と力説した。
クレマンソー元首相に率直に疑問をぶつけると「アメリカが太平洋へ発展するためには、日本はじゃま
なんだ。太平洋や中国大陸でアメリカが発展するために、日本の勢力を取り除かなければならぬのは
当たり前だ。フランスへ来ているアメリカの軍部の高官連中は、みんなこういっている。
アメリカはまず外交で、日本を苦しめてゆくだろう。日本は外交がへただから、アメリカにギュウギュウいわ
されるに違いない。その上日本人は短気だから、きっとけんかを買うだろう。つまり、日本の方から戦争を
しかけるように外交を持ってゆく。そこで日本が短気を起して戦争に訴えたら、日本は必ず負ける。アメリカ
の兵隊は強い。軍需品の生産は日本と比較にならないほど大きいのだから、戦争をしたら日本が負ける
のは当り前だ。だからどんなことがあっても、日本は我慢して戦争してはいけない。」
クレマンソーの予言を聞いて日本の将来に不安を覚えた東久邇宮は、日本に戻ると陸軍首脳部に話したが
相手にされなかった。
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近衛内閣③総辞職
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