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買い物は帰国後にネットで 地方を潤す3つの「逆転」
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訪日消費の好調さは訪れる外国人の顔ぶれが多彩になっているだけではない。
リピーターが日本の風情を深く楽しもうと地方にまで足を運び、帰国後に日本の商品を通販で購入している。
いちど接点を持った外国人は息長く日本とかかわる。「データで読むインバウンド消費」の後編は、
逆転をキーワードに地方経済自立の芽を探る(前編は「訪日消費、主役は中国から欧州へ 大好物はラーメン?」)。
逆転1 宿泊客の増加幅、大都市上回る
1つ目の逆転は、大都市圏を上回る地方での宿泊客の増加ぶりだ。
観光庁によると、2016年の訪日客の延べ宿泊人数は6938万人。うち三大都市圏にある
8都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)は前年比138万人増の4185万人。
他の地域は客数(2752万人)でこそ劣るものの、増加幅は238万人増と三大都市圏を初めて上回った。
これまでは延べ宿泊人数は水準も増加幅も三大都市圏がリードしてきた。だが、リピーターは地方の良さに目を向けつつある。
観光庁によると、訪日回数が2回以上という人の割合は17年4~6月時点で62%。2年前より4ポイント上昇した。
地方ならではの楽しみ方は多い。長崎県小値賀町は米国人の東洋文化研究家の演出で、複数の古民家を宿泊施設などに再生。
トイレを広く明るくするなど外国人目線で改修したという。岐阜、長野、石川、富山4県の5自治体はミシュランの三つ星施設を
高速バスで結ぶ「北陸・飛騨・信州3つ星街道」を開発した。
逆転2 中国人の「爆買い」ネットへ
2つ目は、化粧品の輸出額と輸入額の逆転だ。
中国人のまとめ買いを言い表す「爆買い」は一段落したが、帰国後も日本製の化粧品や衣料品を手にとる人が増えている。
中国人は国境をまたぐ越境電子商取引(EC)で化粧品を購入する。日本化粧品工業連合会(東京・港)が財務省の貿易統計を分析すると、
16年は化粧品の輸出額が初めて輸入額を上回った。
輸出増は日本製品を楽しむ外国人の増加を意味する。日本でお金を落としてもらう以上の経済効果といえる。
第一生命経済研究所は、訪日客の人気が高い「化粧品・衣料品・医薬品・家電・飲食料品」の輸出動向を分析。
訪日時の購入額が16年までの5年間で1兆円増えたのと並び、16年の輸出額も1.5兆円と5年前より6割増えた。
星野卓也氏は「日本製品への人気が地域経済の雇用をつくり出している面がある」とみる。
逆転3 GDP構成比、公共投資に迫る
3つ目の逆転は、地方経済を潤す主役の変化。北の大地では観光消費が公共投資を押しのけつつある。
「3年後にも観光消費が公共投資を逆転する」。道銀地域総合研究所(札幌市)は、北海道の国内総生産(GDP)の構成比が変わりそうだと予測する。
GDPベースの道内の観光消費は15年度で1兆1264億円。訪日客の消費拡大により20年度は1兆5572億円とはじく。
北海道電力総合研究所(北海道江別市)が試算した20年度の公共投資の最終需要は15年度比0.4%増の1兆4718億円。観光消費が逆転する。
道銀総研の坂野公紀氏は「観光は民需主導の自律型経済構造へカジを切る数少ない手段。地域の自立意識が芽吹くきっかけになる」と期待する。
スキーリゾートが訪日客に人気の北海道倶知安町。民主導の投資は活発で、コンドミニアムなどの建設が進む。
倶知安観光協会の吉田聡会長は「建設業界は潤っている。ここ3~4年、ニセコ地区周辺で倒産の話は聞かない」と話す。
訪日客消費が地方経済に与える影響は一段と強まってきている。都道府県ごとに名目GDPに対する訪日客消費の比率を試算したところ、
43都道府県で12年から16年にかけて比率が上昇した。