23/12/23 08:57:02.00 OqSPfSJg0.net
同居していたとともに任意同行され、長時間取調べを受ける。娘の死で打ちのめされていたうえ、
刑事から「ガレージに降りて、火を点けるところを息子が見ているぞ」と言われたことで自暴自棄となった。
言われるがまま5枚の自白書を書いてしまう。弁護士に「やっていないのなら、調書に署名、
指印してはいけない」と言われ、翌日からは黙秘に転じた。「わたしの場合はわが子が亡くなって、
わからないまま逮捕されて、真っ裸にされて、そしてなにもかも取り上げられる。
こんなことがあるのだとビックリしました。そして厳しい取調べ。否認もしましたので、体調が悪い。
椅子から滑り落ちても病院に連れて行ってくれなかった。自白すれば『パンを食べるか』『病院へ行くか』
と扱いが変わる。認めなかったらひどい扱いを受けてしまいました」「椅子から滑り落ちて」
とはどういうことなのか一度は自白書を書かされたものの、その後、黙秘を貫いていたが、
ふたりの男性刑事から交互に罵倒される取調べが毎日夜遅くまで続き、体調が悪化してしまう。
「病院へ連れて行ってください」と頼んでも、「娘はもっと熱い思いをして死んだんやぞ」
と言われてしまい、極限の疲労により椅子から滑り落ちても仮病扱いされる。
耐えかね夜になって二度目の自白書を綴ってしまったのである。
人が虚偽自白をしてしまうのはどのような状態のときなのだろうか。「精神がおかしかったんです。
便が2週間出ていないと伝えると、弁護士さんがビックリして『薬をもらいなさい』
と言うくらい。そういう状態のなかで、警察の密室での取調べが行われると、
あの人たちの言うことがすべて本当に聞こえ、なにがどうなっているのかわからないという状況でした」
と述懐する。わが子を失い茫然自失の状態で身柄拘束され、
体調不良なのか長時間にわたって強圧的な取調べが続くと、自分がなにをしゃべっているのかすら、
わからない状態になってしまうというのである。一審の地裁は現住建造物等放火、
殺人および保険金詐欺未遂の各犯罪事実を認定の上、無期懲役に処す。
高裁への控訴、最高裁への上告も棄却となったため、収監されてしまう。
燃焼実験により事故が火災の原因であると証明され、再審を経て無罪が確定した。
戦後史に残る冤罪事件で21年の月日を奪われた、
51:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/24 09:38:24.83 U893n2ou0.net
「ほかのひとに(同じような経験を)してほしくない、仲間に同じ経験をしてほしくないので活動しています」
と締めくくった。二度の自白のあとは黙秘を続け、公判でも否認したが、
裁判所は暴行、偽計、切り違え質問(共犯者が自白していると告げること)
など違法取調べのオンパレードで作られた自白調書を信用して誤判した。
それらの調書は長期間の身柄拘束、長時間の取調べといった人質司法で作られたのだが、
その根本原因はいまだに是正されていない。
共犯者が多数いる経済事件において否認し続けると勾留が長引いてしまうケースが多い。
否認している被疑者・被告人が長期拘禁されることは元会長逮捕・勾留時、
海外メディアから強い批判を受けた匿名で証言してくれた、金融商品取引法違反
(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で逮捕、起訴された。無罪を主張したものの、
5回の保釈申請が却下され続け、保釈されるまでに約1年2ヵ月にわたり勾留され続けた。
「粉飾決算と言うことで拘束されまして、1年2ヵ月勾留されておりました。強調したいことは3つございます。
まず1番目。勾留されていると先が見えないので非常に不安なんですね。
いつ出られるんだろうかというのがまったくわからないので、心理的圧迫感がものすごくある。
家族といつ会えるんだろうか家族はどうなっているんだろう耐えがたい精神的苦痛があるということです」
身体拘束は筆舌に尽くしがたいほど苦痛なのだと言う。にもかかわらず、
裁判所は「自動販売機」と揶揄されるほど、いとも簡単に身柄の拘束を認めてしまうのである。
「2番目はですね、拘束されると収入の道が絶たれてしまうということになります。粉飾決算ですので、
(証拠や証人が)非常に多岐にわたりますので、複数人の弁護士にお願いしなくてはならない。
弁護士費用が払えるのかな、身体の弱い妻と小学生の娘がおりましたので、
このまま長いこと拘束されると、路頭に迷ってしまうのではないか、
これは経済的にもきついなということで、先ほど申し上げました先が見えないということと、
経済的な負担、このふたつで、言ってみれば兵糧攻めに遭っているようなもので、とっと警察・
検察の言っているシナリオを認めて早く出てしまった方がいいんじゃないかという、そういう誘惑に駆られてしまう。
52:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/25 18:56:45.88 x6vR8Hd80.net
冤罪の温床になるというのは非常に理解できるところであります」
「兵糧攻め」という言葉を使われたが、言い得て妙である。人質に取られ続けると、
経済的なダメージが降りかかってくるという指摘を忘れてはならない。
金銭的な苦しさから捜査当局の言い分を認めざるを得なくなり、「冤罪の温床」となってしまうのである。
「3番目に強調したいことはですね、粉飾決算と言うことで非常に証拠の範囲が広うございまして、
段ボール箱数十箱。検察の方もわたしの故意を立証するために、
多くの証拠と証言を積み重ねてくるので、これに対してひとつづつ反論していかなくてはならない。
そうすると、あそこの段ボールに、こういうのあったハズだ。
1個ずつ弁護士の先生にお伝えして持ってきてもらわなくてはならない。
いわゆる隔靴掻痒のようなことが起きますので、
そこは防御としては不十分だなと感じる次第でございます」経済事件の場合、
押収資料は膨大なものとなる。そのうえ関係者も多数となるため、検察官調書もまた量が多い。
勾留されたままの公判準備となると、狭い拘置所内に置くことのできる書類の数は限られているので、
開示された証拠類を読んで理解しようとしても、いちいち持ってきてもらわなくてはならない。
そのことを「隔靴掻痒」と表現している。そのうえ、弁護人とうち合わせをしようにも、
一畳程度の狭隘な接見室では弁護団全員が入れないことも少なくないうえ、
必要な証拠、調書をすべて持ち込むのは不可能だ。
実質的に被告人の弁護人依頼権が否定されているという現状について、
「防御としては不十分だ」と言っているのである。「わたしの場合求刑が懲役2年だったんですが、
1年2ヵ月の勾留というと、もう実質の裁判が終わる前に刑罰の半分が終わってしまっているって、
こんなバカみたいなことがあっていいのかと思っております」
無罪か有罪かを決める裁判が始まる前から実質的な刑罰が加えられている。おっしゃる通り
「バカみたいなこと」以外のなにものでもない。児童虐待は防がなければならないが、
その一方、虐待を疑われた冤罪で苦しむ家族が多発していることはあまり知られていない。
SBS/AHT(いわゆる揺さぶられっこ症候群)事案で10人目の無罪判決確定者である。ある夜のこと。
53:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/26 09:49:24.49 YKKsjHtI0.net
生後2ヵ月の長男の育児に疲れた妻を気遣い、「夜間授乳に備えて仮眠してきたら」
と声をかけた。ところがその後、長男の様子が急変。泣き声が止み、呼吸音も聞こえない。
風邪をひいていた息子が痰をノドに詰まらせたのではないか。思わず背中を叩く。
その後、救急車で病院へ搬送された。検査結果は急性硬膜下血腫。後日、眼底出血も見つかった。
病院は「揺さぶり虐待」があったとして児童相談所に通報し、長男は一時保護されてしまう。
11ヵ月にわたって長女を含む親子3人で長男の帰りを待っていたところ、
今度は傷害の疑いで逮捕・起訴されてしまった。「わたしは逮捕されました。
息子が脳内出血を起こして意識不明の重体になったということで、
わたしが虐待をしたという疑いで逮捕され、23日間、留置場で取調べを受けました。
揺さぶられっこ症候群で嫌疑を掛けられていたときから、(その問題に強い)
弁護士に相談しており、『黙秘権がありますから黙秘をしてください』と言われていて、
任意の事情聴取のときも警察に伝えてました。でも取調べが始まるときに黙秘をしますと言っても、
取調べは続くんです」ここで重要な問題提起をしている。取調べ受忍義務について言及しているのである。
取調べの際、再三にわたって黙秘権の行使を告知している。要は「なにを聞かれても話しません」
と伝えたのである。であるならば、取調べは終了して房へ戻れるのかというと、そうではない。
取調官が帰ってもいいというまでは事情聴取につきあわなくてはならないのである。
黙秘権は憲法で認められた権利であるにもかかわらず、
その意思には関係なく警察官や検察官から供述を求められ続けるのだ。
当然、取調官は手を替え品を替え黙秘を翻すよう、長時間、説得するわけで、
黙秘権の行使が実質的には許されていない実態もまた、人質司法をはびこらせる一因となっているのだ。
「起訴されたあと、拘置所に移されます。独房です。そして接見禁止。
わたしの場合は黙秘をしていたことで、捜査機関に情報はほとんどなく、
状況証拠だけでした。子どもが出血したという事実だけで、証拠はない。
わたしがなにも言わないから家族と口裏合わせができるということで、家族との接見を禁止されました」
54:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/27 05:47:23.60 mauxGOvI0.net
「拘置所のなかから家族に手紙を書いても接見禁止だと直接だせなくて、弁護士を介して渡す。
裁判所の許可をもらってから送達するので、結局往復に2週間くらいかかるんですね。
子どもが病気にかかったと聞いて手紙を書いても、返事が来るのは2週間後で、
すでに症状は変わってしまっている。一所懸命書くんですけれども、
直接連絡を取り合えないことが辛かったです」「わたしが逮捕されたとき、
娘はまだ3歳でしたが、家族みんなで会えたのは保育所を卒園するときで、5歳になっていました」
逮捕・勾留されただけではなかった。接見禁止といって、一番大切な家族と面会することはもちろん、
手紙のやり取りすら禁じられる措置が命じられたのである。実はこの国で逮捕・
勾留された人のうちの約4割がこのような状態におかれてしまうのだ。
接見禁止は逃亡または証拠隠滅をすると強く疑われるときにだけ認められると法律には書いてある。
夫妻が乳児院に保護されてしまっている長男を置いて逃亡するなどあり得ない。
また息子さんが急変したときはふたりきりだったので、共犯者はいないのだから、
口裏合わせといった証拠隠滅行為など必要もない。にもかかわらず、
検察官は勾留を求めるだけでなく、接見禁止まで請求し、裁判所は認めてしまう。
その理由は黙秘しているからにほかならない。弁護士は、「わたしの知る限り、
家族との面会を含めあらゆる社会的なコミュニケーションを一律に禁止することを認めている国は、
日本以外に存在しません」と綴っている。わたしたちはそういう国に住んでいるのである。
赤阪さんは起訴前と起訴後の都合3回にわたって釈放・保釈を認める決定がなされていたが、
検察はそのたびに準抗告し、別の3人の裁判官が勾留を是認した。
保釈請求に対する検察官の意見書には「妻などに働きかけることで罪証を隠滅する疑いがある」
と記載されており、裁判官もその言い分を認めてしまうのである。
検察官が保釈に反対する意見書をだすと、その中身がどんなに荒唐無稽であっても、
自動的に却下の決定をだす裁判官は少なくない。勾留は150日間に及んだ。
公判では検察官請求の医師5名、弁護人請求の医師3名の尋問が行われた。
55:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/28 08:03:55.38 aO49S3s60.net
そもそも起訴事実は「なんらかの方法により頭部に衝撃を与える暴行を加え、
全治不詳の急性硬膜下血腫を負わせた」というもの。
弁護側は「感染症により心筋炎を発症していた可能性があり、
もともと糖鎖の異常という先天的な病気も持っていたため、
本件傷害が生じた可能性がある」と主張した。裁の判決は
「被告人が息子に対して社会生活上許容されない激しい揺さぶりなどに及ぶ動機等は存在せず、
検察官が主張するような不法な有形力の行使に及んだとすることは、
多大な疑問があるというほかない」と述べるなど、完全無罪の内容。検察は控訴できなかった。
絵に描いたような人質司法のサバイバーである。「人格否定するような情報収集をいっぱいされました。
(警察官は)家族以外にも友人たちのところに行って、『女性関係はなかったか暴力沙汰はなかったか』
と尋ねてきたそうです。もちろん、友人たちは『そんなことはない』と答えてくれましたが、
息子のケガとはまったく関係のない情報を集め、人格を疑わせるような印象操作をして、
家族とわたしを引き離そうとしたのです」わたしとは共通の知人がおり、
その彼のもとにも警察官はやってきた。「虐待などするわけない」
と何度も伝えたのだが聞く耳を持たなかったという。
「事件と関係ない捜査や取調べが自白を強要するために行われるのだということを初めて知りました。
守られるはずの人権がいとも簡単に都合よく扱われてしまう。
わたしのような目に遭う人がひとりでも先に出ないことを心から願っています」
冤罪を作り上げた警察官や検察官、
いい加減な鑑定書を作った医師たちの耳にこの声は届いているのだろうか。
最近「人質司法」という言葉を耳にすることが多くなった。とはいえ「どういう意味なの」と聞かれ、
答えられる人は多くないだろう。日本において、犯罪を行った疑いのある被疑者・
被告人は否認または黙秘をしている限り、長期間勾留され、保釈がなかなか認められない。
外に出たいがために虚偽自白してしまうことにより多くの冤罪の温床となってしまっている。
狭義での「人質司法」はそのような日本の未決拘禁制度を表す言葉として使われる。
56:傍聴席@名無しさんでいっぱい
23/12/29 09:53:39.13 mjZuxO2R0.net
「無罪の推定」が及んでいるはずの被疑者・被告人が、無罪の主張をしたり、
憲法に認められた黙秘という行為を実行したりしようとすると、留置場・
拘置所に拘禁されたまま長期間にわたり出してもらえない。その一方、権利を放棄すると、
即座に自由な生活を取り戻すことができる。まさに人質という表現がふさわしい。
国際的な人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の報告書『日本の人質司法』
はその副題を「保釈の否定、自白の強要、不十分な弁護士アクセス」としていて、
人質司法を成り立たせている保釈実務、接見禁止、取調べの実態、
代用監獄制度などにも触れている。そして広義での「人質司法」
を含む日本の刑事司法制度は何度となく国連から是正するよう勧告を受けている。
ではなぜこのような野蛮な仕組みが放置されているのか。国はこれらの勧告を無視し続けており、
報道機関も取り立てて問題とみなしていないからである。法務省は日本の刑事司法制度は「人質司法」
にあたらないと主張している。果たしてこの国の司法は公平性・公正性を担保できているのだろうか。
共同プロジェクトが「ひとごとじゃないよ」と銘打っているのは、あなた自身、
もしくはあなたの家族や親しい友人が明日巻き込まれるかもしれないということを表している。
実際、登壇されたのは企業経営者、官僚、公認会計士、弁護士から看護師、カメラマン、クーラー設置業者、
主婦に至るまで、様々な職歴の方々が網羅されていた。誰の身の上にも起こり得るのだ。
まさに「ひとごと」ではないのである。ある日突然やってくる「人質司法」。
厚労省の局長であった、障がい者団体向けの郵便不正事件において、虚偽有印公文書作成・
同行使の容疑で地検特捜部に逮捕・起訴され164日間勾留された。無罪が確定して復職を遂げている。
事件の捜査において主任検事が証拠のフロッピーディスクのプロパティを改ざんしていたことが発覚し、
当時の地検特捜部長ら3人の検事が逮捕され、検事総長が引責辞任する大スキャンダルに発展した。
学校法人の土地取引をめぐって業務上横領の容疑で地検特捜部に逮捕・起訴される。
5度にわたる保釈請求を却下されて248日間の勾留を余儀なくされた。