~歴代死刑囚について語ろう~確定百四十四年目~at COURT
~歴代死刑囚について語ろう~確定百四十四年目~ - 暇つぶし2ch281:傍聴席@名無しさんでいっぱい
18/12/26 09:24:04.01 Jw4OkE/G0.net
>>277修正
>>193
西山の話は結構複雑なんだよね。
まあ仮釈放中の犯行で死刑にあたる罪はどれも難しいんだけど、西山は特にね。
西山の場合、永山基準後の具体的に無期懲役仮出獄中の強盗殺人の犯行から西山まで
の5人を第一審では比較対象として、これらより悪質でないから、無期懲役とされた。
具体的には佐々木和三、武安幸久、古矢新治、高田勝利、森川哲行であり、佐々木は被害者
2名、武安は強盗、窃盗の余罪が多数で、古矢は十分に計画的で反省なし、高田は前科多数、
反省なし、森川は被害者2名などが西山より悪質とされた情状と思われる。
控訴審では比較は西山と事件が似た古矢、高田に絞られ、死刑は支持された。
なぜこういう話になったかというと、無期懲役仮出獄中の犯行の評価の難しさが原因
と思われる。
一般に仮釈放中の犯行は仮釈放中の再犯といわれるが、刑法上の再犯は刑の執行の終了
または 免除後の犯行であって、仮釈放中の犯行は再犯とされず、再犯加重などに該当しない。
したがって、仮釈放中の犯行では判例上、仮釈放とされた刑は考慮にとどまるのであるが、
永山基準の要素である前科は法律上の定義は曖昧ではあるが、一般的には前科は言い
渡された刑、罰金などであるから、仮釈放とされた刑は前科に含まれるとは考えられる
のではあるが、永山基準後の死刑事案に当時そういう例は少なかったこと、前述のように
前科が法律用語ではなく曖昧なこと、再犯加重が有期懲役に関するものとはいえ、 刑法
という法令で定められていることにくらべ、仮釈放とされた刑による加重は法令による
ものではなく、死刑事案の判断への影響の評価の困難さなどから西山の下級審での判断
には苦慮したようにみえる。
西山までの無期懲役仮出獄中の犯行での死刑事案の最高裁の判断は一般的な死刑事案
での永山基準の前科と同様の基準で仮出獄とされた刑を前述の理由で前科として判断
していいのか曖昧なところがあり、永山基準の考察の要素は「犯行の罪質、動機、
態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者
の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状」
とされ、具体的な要素以外も「等」の幅をもたせたものではあるのだが、具体的に
西山までの無期懲役仮出獄中の犯行での死刑事案について最高裁の判断をみてみると、
篠原徳次郎、武安、佐藤真志、森川となるのだが、篠原、佐藤においては刑の執行が
終了したものや仮出獄とされた刑を前科とまとめているものの、永山基準との参照に
おいての要素は前科等と曖昧になり、森川は仮出獄とされた刑は前科という言葉が
用いられず、永山基準との参照においての要素は前科等とされ、武安は過去の犯行に
関して前科という言葉が用いられず、永山基準との参照においての要素は前科や前科等
を用いず、「被告人が強盗殺人罪により無期懲役に処せられ仮出獄中の身であったこと
など」としている。
したがって、西山の下級審では永山基準で用いられてきた前科と仮出獄とされた刑を
同様に扱うことに躊躇したと思われ、具体的に同じ条件である無期懲役仮出獄中
の強盗殺人の犯行との比較になったと思われるのだが、前述のように仮出獄とされた
刑は考慮にとどまり、裁くのは被害者一名の死刑事案に限られるのだから、強盗
殺人としてはそれほど悪質ではない西山の死刑事案は下級審では無期懲役とされた。
しかしながら、刑事裁判官が必ずしも多くない最高裁では永山基準での無期懲役仮出獄中
の強盗殺人がすべて死刑ということから西山は死刑回避とされるほどの情状ではないと
され、事実上の死刑判決となったというのが、西山が下級審が無期懲役で、最高裁が支持
しなかった理由だと思われる。
実際、西山は無期懲役が妥当だと思うのだが、最高裁のこういう判断が下ったから、今後
の無期懲役仮釈放中の強盗殺人の死刑回避はかなり困難ではないかと思う。


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