16/05/29 20:52:26.11 AHHsWUTu0.net
「TPP 協定の全章概要」
「医薬品の販売に関する措置」(第 18 章、第 18.51 条)
「当該最初に提出した者以外の者が、医薬品の販売を求めていることを特許者に通知し
、又は特許権者が通知を受けることを認める制度」
人の診断・治療・手術法を特許対象に
政 府 対 策 本 部 の 「 全 章 概 要 」 で は 、「 特 許 を 受 け る こ と が
で き る 対 象 事 項 」( 第 1 8 章 、 第 1 8 . 3 7 条 )として、「産業上の利用
可能性のある全ての技術分野の発明(物であるか方法であるかを問わない。)
について特許を取得することができるようにする」と規定している。
一方で、締結国は、「次のものを、特許を受けることができる発明から除外することが
できる」としており、「人間又は動物の治療のための診断方法、治療方法及び外科的方
法」☆10を挙げている。「除外することができる」という規定であり、締結国の判断に
よっては、特許を受ける対象にすることも可能になる。
☆10 TPP 政府対策本部「TPP 協定の暫定仮訳」(附属書を除く条文案)2016 年1月7日
アメリカでは、「新規かつ有用な方法、機械、製造物若しくは組成物、又はそれについ
ての新規かつ有用な改良」であれば、特許保護の対象としている。
日本は、特許法 29 条で「産業上利用することができる発明」には該当しないとして、
人間の診断・治療・手術方法は特許の対象から除外されている。特許保護の対象とする
場合、特許法改正など国内制度の変更が必要となる。
特許権料が発生することによって、先端医療技術などの医療費が高騰し、保険収載する
と公的保険財政を圧迫するため、保険外に留め置かれることが懸念される。多額の保険
外負担が生じ、保険外の負担を支払うか、民間保険でカバーする余裕のある人しか、最
先端の医療が受けられなくなる。しかしながら民間保険に加入できるのは一部の高所得
者だけで、多くの患者が公平に最新の医療を受ける権利を奪うことになる。
2、薬事行政に製薬企業が介入―薬価の高止まり・高騰のおそれ
政府対策本部「概要」では、「透明性及び腐敗行為の防止」(第 26 章)で、「透明性に
ついて、締結国は、TPP 協定の対象となる事項に関する法令等を公表すること、意見提
出のための合理的な機会を与えること」などについて「規定している」と説明している
。
第 26 章では「医薬品及び医療機器のための透明性及び手続きの公正に関する附属書」
(以下、「附属書」)を設け、第 8 章「貿易の技術的障害」においても、医薬品・医療
機器の承認手続きの透明性を確保することを規定した附属書を設けている。
第 26 章の「附属書」では、「新たな医薬品又は医療機器に対する保険償還を目的とす
る収載のための手続き」について、「検討を一定の期間内に完了することを確保する」
ことや「手続規則、方法、原則及び指針を開示する」ことを規定している。さらに、医
薬品、医療機器を保険収載に関して、「独立した検討過程」を設けることや、保険収載
しないという「決定に直接影響を受ける申請者」が、不服審査を開始することができる
と規定している(こうした制度は、韓米FTAで設けられている)。
これまでもアメリカ通商代表部は、新薬の特許が切れてもジェネリック薬が発売される
までの間は高薬価を維持する「新薬創出加算」の継続・恒久化をはじめ、外国薬価が高
くても日本の薬価が高くならないようにする「外国価格調整制度」や売り上げが増えた
場合に薬価を引き下げる「市場拡大再算定制度」の見直しを要求してきた。
今後、アメリカの製薬企業が、利害関係者として、TPP 協定の「透明性」を盾にして、
医薬品・医療機器の保険収載の可否や、公定価格の決定プロセスにいっそう影響力を及
ぼすことが懸念される。