16/05/29 20:51:48.35 AHHsWUTu0.net
データ保護期間創設―ジェネリック薬に新たな障壁
アメリカは TPP 交渉で、バイオ医薬品のデータ保護期間を創設し、政府の承認時から
12 年とするよう要求していた。
政府対策本部の「全章概要」では、生物製剤(バイオ医薬品)の新薬は、データ保護期間
を「最初の販売承認の日から少なくとも8年間」、又はその代わりとして、「最初の販
売承認の日から少なくとも5年間」と「他の措置をとる」ことのいずれかを選ぶことを
規定している。
日本政府は、「新薬の再審査期間(承認時から8年)が、実質上のデータ保護期間として
機能している」ので、国内制度への影響はないと説明しているが、TPP 協定で新たな
ルールが導入されることになる。データ保護期間の下限についてのみ規定しており、ア
メリカでのデータ保護期間と同じ12 年にすることも可能である。
バイオ医薬品は遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーで開発する医薬品である。主
に抗がん剤やC型肝炎、糖尿病など疾病の治療に使われている。経済産業省によると世
界のバイオ医薬品市場は 2010 年の 900 億ドル(10 兆 8000 億円)から 15 年には
1900 億ドル(22 兆 8000 億円)まで拡大すると見込まれている。
特許期間延長に追加する形で、新薬のデータ保護期間を設けることは、製薬大企業の独
占的利益を保障する一方で、ジェネリック薬企業の参入に対する新たな障壁が出現する
ことになる。
国際医療支援団体の「国境なき医師団」は、「発展途上国の医薬品入手の面で最悪の貿
易協定として歴史に残るだろう」と批判している。
「TPP 協定の全章概要」
【生物製剤】(第 18 章、第 18.52 条)
「生物製剤である新規の医薬品の最初の販売承認の日から少なくとも8年間」「第 18.5
0 条の規定を準用して実施することによる効果的な市場の保護について定める」
「又はその代わりとして、最初の販売承認の日から少なくとも5年間、第 18.50 条の規
定を準用して実施すること、他の措置をとること、及び市場の環境が効果的な市場の保
護にも寄与することを認めることにより、市場における同等の効果をもたらす効果的な
市場の保護について定める」
特許リンケージ導入―ジェネリック薬に新たな障壁
特許リンケージとは、ジェネリック薬企業から製造販売承認の申請があると、政府の医
薬品規制当局が、当該医薬品にかかる特許権者に通知を行い、特許権を侵害していない
か確認することを義務付ける制度である。新薬を開発した製薬企業が特許権侵害の訴え
を起こした場合は、医薬品規制当局は製造販売の承認審査を停止する。日本では国内制
度の変更となる。
アメリカは、特許権者に対する司法上・行政上の手続き(特許権者が訴訟した場合、係
争中はジェネリック薬の製造承認を保留させるなど)を保障することを要求していた。
この要求が通った形である。すでに、韓米FTAや豪米FTAではこうした通知制度が設けら
れている。