23/09/21 01:11:57.68 N0OTrrKB.net
自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかりますーー。経済学者の竹中平蔵氏はそう振り返る。竹中氏といえば「日本人は90歳まで働くことになる」という持論からネット上では議論を巻き起こしたが、その一方で日本の介護制度や年金制度に対しても問題意識を持っている。みんかぶプレミアム特集「逃げる介護」第1回は、竹中氏がサステナブルな制度を提唱するーー。
介護離職は日本経済において、大きなロスである
人間が教育をうけて一人前になるには20年ほどの大変な手間暇がかかります。そして、自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかります。お金もかかりますし、時間もかかります。
今、私が懸念しているのは、これから日本で介護難民が増えることです。今の日本社会では個人ベースでも社会ベースでも介護に対して十分な備えができていません。
まず社会ベースでできていないというのは、介護施設が足りていません。とくに都市部では高齢者人口が急増しており、若い世代の介護者も不足しています。そのため、その分、要介護者の子供たちに負担がかかります。大会社の管理職だって介護のために仕事を辞めなくてはいけない人がたくさんいます。それはその人の人生にとっても辛いことであると同時に、日本経済においても大きなロスになります。
日本人は長く生きた時の備えをこれまでしてこなかった
個人的に備えができていないというのは、その親自身が自分に介護が必要になるかもしれないのに、そうなった時のためにお金を蓄えていないということです。日本人はこれまで生命保険など死んだときのための備えをしてきましたが、長く生きたときの備えは年金しかありませんでした。
そもそも年金とは年金だけで老後の生活ができるようには設計されていません。なぜかといえば、そんなに国民がお金を払っていないからです。だからこそ個人年金を入るべきなのですが、多くはそうしてきませんでした。90歳まで生きるなら90歳まで人は食わないと生きていけません。65歳で仕事を辞めるなら25年間は自分でどうやって食うのか考えておかないといけない。ただ、本来はそうやって自分の老後の設計をしなくてはいけないのに、年金に対する勘違いなどによってそれを怠ってきた人がいます。
とくに日本の年金は払わなくても罰則はありません。日本の年金は払った額によって受け取れる額もかわりますが、少なく払った人はその分そのため受け取る額も少なくなってしまいます。北欧並みに年金をもらうためには自分の給料の七割ほど納める必要がでてきます。それはそれで大変ですが、日本ではそういう制度になっていません。そういったことも背景に、日本では自分に介護が必要になったとき、十分なお金を持っていない方が多くみられるのです。
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