18/07/23 16:38:06.58 CAP_USER.net
(>>1続きです)
ホウレンソウや水菜を栽培する飯島浩さんの農園では、インドネシアからの実習生4人が働く。当初はメロンやイチゴも栽培していたが、「時期によっては実習生のために仕事を作らないといけなかった」(飯島さん)ため、通年で出荷できる葉物野菜に専念したという。
実習生の受け入れが広がるにつれ、飯島さんのように栽培品目を切り替える農家も増えている。特にメロン栽培は手間がかかり、農家の高齢化や人手不足も足かせになっている。鉾田市のメロン農家はこの10年で半減した。
実習生の受け入れには、農家を監督し、現地の送り出し機関との調整などを行う監理団体がかかわる。鉾田市の監理団体、グリーンビジネス協同組合の塙(はなわ)長一郎・代表理事は「実習生と旅行に行ったり、祭りに参加したりする受け入れ農家も多い」と話す。
とはいえ、一足飛びに関係性ができたわけではない。市内では別の農協系監理団体に属する農家で4年前に残業代の未払い問題が発覚。農協系監理団体は5年間の実習生受け入れ停止処分を受けた。それ以降、この地域では「農家に対しての指導を強め、実習生の権利保護を徹底している」(塙代表理事)。受け入れ体制が厳格化される中で、実習生が仕事や生活をしやすい環境が整ってきた。
■最長10年在留が可能に
政府は昨年11月、技能実習制度の在留期間を最長3年から同5年に延ばしたばかり。さらに6月に閣議決定した「骨太の方針」に、外国人の就労を目的とした新たな在留資格の創設を盛り込んだ。具体的な受け入れ業種の決定はこれからだが、農業を含む重点5分野で、「特定技能」を持つ人材を25年ごろまでに50万人超受け入れるという。新制度では最長10年在留が可能になるが、「移民政策とは異なる」として家族の同伴は認めない。
農業の実態に詳しい東京大学大学院の安藤光義教授は「新制度ができても、外国人労働者の増加は限定的ではないか」と指摘する。「日本の農家は家族経営が主体。実習生を受け入れている農家でも、外国人労働者をさらに増やすためには、経営者とは別に日本人の管理者が必要となるが、現状では確保が難しい」(同)。問題は結局、待遇の悪さを背景とした日本人の人材不足に行き着く。
「待遇の悪さをいとわない外国人労働者に安易に依存することは、日本の産業界が抱えている問題の先送りにしかならない」と、経済学の視点で外国人労働者問題を研究する慶応義塾大学の中島隆信教授は警鐘を鳴らす。労働集約型の産業は生産性の低さが課題とされるが、それが固定化されることになりかねない。
茨城県の農業従事者は20代の48%が外国人という現実がある(15年)。外国人労働者を受け入れても、次世代の担い手不足は一向に解消しない。構造問題から目を背けない姿勢が必要になる。
7/28号,2018 東洋経済Plus
URLリンク(premium.toyokeizai.net)