16/11/07 03:08:07.38 t0fvWpZ0.net
三井:日本で2013年以降、新しい経済政策が始まってほぼ4年が経とうとしていますが、中原さんはアベノミクスの未来について、
始まった段階からかなり正確に予測をされていましたね。
中原:金融緩和に頼る円安によって、実質賃金が下がり消費が冷え込むことは、普通に因果関係を考えれば、
誰にでもわかることだと思います。ところが、なぜか政権のブレーンとなっている学者にはそのことがわからないから、
いまだに不思議で仕方がないのですよ。実は、民主党政権時代にも日本銀行に緩和圧力をかける動きがあったので、
自民党政権が誕生する前にはそういった趣旨の本は書きましたが、あまり売れ行きがよくありませんでした(笑)。
三井:なぜアベノミクスのような「誤った政策」が行われてしまったのでしょうか?私のまわりにも生活が苦しくなったという人たちが増えています。
中原:日本で浅はかな経済実験が行われてしまったのは、ポール・クルーグマンの「インフレ期待」という
理論が「原因」と「結果」を完全に取り違えているにもかかわらず、
彼を支持する学者たちが為政者にその理論を見事に信じ込ませてしまったからでしょう。
経済の本質からすれば、「物価が上がることによって、景気が良くなったり生活が豊かになったりする」のではありません。
「経済が成長する結果として、物価が上がる」というものでなければならないのです。
もちろん、「経済が成長する結果として、物価が下がる」というケースもあるので、アベノミクスの理論自体が、始める前から破綻していたわけです。
三井:先日、中原さんが野田一夫先生(日本総研名誉会長)と対談している記事を拝見いたしました。野田先生ってすごい方なんですね。
「天下の孫正義さん」が師と仰いでいるなんて、私は全然知らなかったです。
話が少し脱線しましたが、自然科学の世界から見ると、経済学の世界では合理的でない学説や理論が多いと……そんなことを
お二人でお話しされていましたよね。
中原:三井さんの「下調べ力」には頭が下がります(笑)。経済学の世界では、「鶏が先か、卵が先か」
の議論が結論の出ないまま成り立ってしまうことが多いのですが、実際の経済は決してそのようには動いていかないものです。
経済にとって本当に重要なのは、「どちらが先になるのか」ということなのです。
すなわち、実質賃金の上昇よりもインフレが先に来ては、決していけないということです。
科学の世界では、決して「原因」と「結果」がひっくり返ることはありません。経済学の世界で「物価が上がれば、
経済が良くなる」などと主張している学者たちは、私から見ると、科学の世界で「引力が働いているから、りんごが落下する」というべき現象を、
「りんごが落下するから、引力が働いている」といっているのと同じようなものなのです。
「理論的主柱」クルーグマン教授も自説の誤りを認