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櫻井よしこ オフィシャルサイト
「 核燃料サイクルの技術継承を断ち切る「もんじゅ」の廃炉決定は大きな誤り 」
『週刊ダイヤモンド』 2016年10月1日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1151
URLリンク(yoshiko-sakurai.jp)
政府はフランスの次世代高速増殖炉アストリッドの開発に協力することで技術継承を可能にすると説明する。ところが、東京大学大学院教授の
岡本孝司氏は、そもそももんじゅとアストリッドでは目的やシステムが全く異なると指摘する。
もんじゅは発電しながらプルトニウム燃料を生産するが、アストリッドは発電ではなく高レベルの放射性廃棄物処分のための設備だというのだ。
加えて、日仏間には決定的な自然条件の差があるため、フランスの技術の導入は日本の高速増殖炉の技術開発や核燃料サイクルの完結には
つながらない。
地震国日本は全ての原子力関連の施設に特別の対策を必要とする。フランスも他の諸国もタンク型と呼ばれる高速増殖炉を開発してきたのに
対して、日本がループ型と呼ばれる独自の型を開発してきた理由もそこにある。
簡単に言えば前者は液体金属ナトリウムを入れた大きなおけの中に炉心や熱交換器などを浸した形であり、後者は原子炉を収納した原子炉容器や
熱交換器、蒸気発生器などを固定して、配管でつなぐ形である。
ループ型はもう1つの高速増殖炉の問題にもよく耐えることで知られている。高速増殖炉は、使用するナトリウムが入り口で400度、出口で550度
となり、150度の激しい温度差にも耐えなければならない。そのため、タンクの壁は可能な限り薄くする。厚ければ急激な温度差で破壊されかね
ないからだ。一方、日本では耐震のため原子炉容器は小型で堅固に、タンクの壁は相対的に厚くする。温度差に対して壁は薄く、地震には厚く。
相反する二つの要素を同時に満たすのがもんじゅのループ型だ。
アストリッド計画への日本の参画は研究資金の提供が柱となるが、将来フランスの技術が完成しても、前述のように、異なる性格の技術を導入
できるはずがない。