16/10/16 17:52:27.08 CAP_USER.net
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中国は、もともと協定の削減目標が「2030年ごろに排出を頭打ちに」と甘く、痛みが少ない。
南シナ海などで対立する米国との、数少ない「協調カード」でもあり、中国との対立を決定的にしたくない米国とも、この部分では思惑が一致した。
この米中の動きにEUは焦った。加盟28か国の国内手続き完了を待たずに、
EUとして一括批准する異例の手に出て、欧州議会が10月4日に批准を承認、これが発効条件クリアの決め手になった。滑り込みセーフの格好だ。
これに比べ日本政府は、9月下旬になって今臨時国会での批准承認を目指すと
決断するという出遅れぶりだが、面目ないだけでなく、「実害」の懸念も指摘される。
発効が早まって問題になるのが、11月7~18日にモロッコで開くCOP22の期間中に
批准国が開く「第1回締約国会議(CMA1)」だ。ここで、協定に実効性を持たせる具体的なルール作り
の議論が始まるが、批准効力の発生は国連に提出してから30日後のため、日本がCMA1に批准国として
参加できる提出期限は10月19日。国会では環太平洋パートナーシップ協定(TPP
)承認の議論が衆院で始まっているため、パリ協定批准案は参院から先に審議するが、
それでもCOP22が開幕する11月7日までの承認を目指すのが精いっぱいで、CAM1に批准国として参加するのは絶望的だ。C
AM1には未批准でもオブザーバーとして参加はできるが、議決権はもちろん、発言権もない。
会議では削減目標の条件や目標未達の際の対処策などが議論になる見通しだが、日本の意に沿わない場合も異議は表明できない。
安倍晋三政権の誤算はどこから来たのか。「読み誤り」は夏前からで、オバマ大統領が5月の
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言に「2016年中の発効」と盛り込ませれば、
中国も9月の杭州での20か国・地域(G20)首脳会議の議題でパリ協定を重視。それで
米中だけなら年内発効はないと政府も高をくくっていた。雲行きが怪しくなってきたのが9月末に排出量4位のインドが
10月批准を表明したあたりから。そして、想定外のEU一括批准で「外交的な失敗」は決定的になった。
読み違いの原因はTPP優先の安倍政権の方針にあるとの見方が強い。臨時国会に向け、
自衛隊と米軍の物資融通を広げる改定物品役務相互提供協定(ACSA)を含めた案件の中で、
政権の優先順位は、「1にも2にもTPPがまずあり、パリ協定は最後」(経済産業省筋)だった。
「アベノミクスの『金融政策』への過大な依存の弊害が明らかになる中、補正予算による財政出動はあるが、
経済界から求められる構造改革に、政権としてアピールできるネタはTPPぐらいしかない状況」(全国紙経済部デスク)という事情があったのだ。
安倍首相が今国会の所信表明演説でパリ協定に触れなかったのは、官邸の関心の低さを示している。
(以下略)