16/08/29 15:13:31.38 F28WAq5w.net
金融機関が困るのは付利がマイナスにあることではなく、イールドカーブがよりフラット化してしまうことにある。
金融機関は短く調達し長く運用することで商売しているので、
このようなフラット化は利ザヤ縮小を招いてしまい「本業」で儲けることをより困難にしてしまうのである。
本来的に金融緩和とはインタバンク市場の金利を下げることで金融機関の資金調達を容易にし、
それに伴い市中金利も下がることによる資金の供給側・需要側の双方に良い影響を与えることを本質としている。
しかし、このようなマイナス金利政策(に限らずいわゆる非伝統的金融政策全般に内在する問題であるが)は、
過度の金利低下を促進し、金融機関の利ザヤ圧縮をすすめることで、貸出のインセンティブを削いでしまうことになる。
もちろん市中金利が下がることは資金の需要側にとっては有利であり、その点で「緩和」とはいえても、
資金の供給側からすれば「緩和」ではなくむしろ「引き締め」と言える状況になっている。
なお、仮に付利分のマイナスについては、これを金融機関にとっての損失と見る向きもあり実際そうでもあるのだが
その一方で日銀は量的緩和も継続しており、国債をより高く買い入れている(その結果として利回りの低下あるいはマイナス化の定着)
のだから、この点についての金融機関の損得はトータルで考えるべきだろう。
ただ政策全体としては非常にマイナーな話で、金融機関にとって一大事は上で書いた通りイールドカーブの一段のフラット化である。