16/08/27 11:15:09.72 CAP_USER.net
では、貧困に対するバッシングはどのような層が中心となって行われているのでしょうか?
今回の騒動のようなネットの炎上は、社会的弱者が中心となっているといわれていました。
しかし、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一助教が20歳以上の男女1万9,992人を対象におこなった
アンケートで、炎上に加担しやすい人は個人年収や世帯年収が多い人や子どもがいる人などであることがわかっています。
社会的な地位のある人が炎上を起こすのには驚かされますが、仕事等で溜まったストレスをそこにぶつけているのかもしれません。
また、努力が実って社会的に成功した人にとっては、運悪く貧困に陥ってしまった人が努力していないように見えることもあるでしょう。
一方、貧困に苦しんでいる人が、生活保護を受けている人を批判するという意見もあります。
岩波書店から出版されている『生活保護から考える(稲葉剛著)』本来生活保護を受けるべき人が、
生活保護受給者を非難している不可解な構図の原因は、「嫉妬」にあるようです。
掲示板等で見かける「自分は働いているが生活保護以下の暮らしをしている。受給者は贅沢だ」という意見に象徴されるように、
生活保護者受給者と自分を見比べて受給者の方が楽に見えてしまい、バッシングを行ってしまうのです。
こうした方は、生活保護制度について学ぶことで、生活苦と理不尽なバッシングをしてしまう生活から抜け出せるかもしれません。
ネット炎上は富裕層が、貧困層へのバッシングは貧困層が行っているということから、貧困に苦しむ女子高生が炎上した本件には、
多くの層が関わっているといえるのではないでしょうか?
■普通の人でも貧困状態に陥る可能性は高い
貧困問題は自分には関係ないと思っている方もいるでしょう。しかし、この不安定な社会で生きていく以上、
不運が重なって貧困に落ちるリスクはすべての人に存在します。
厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」の「生活意識別にみた世帯数の構成割合の年次推移」によると
生活が「大変苦しい」「苦しい」と答えた人は2001年の51.4%から2013年には59.9%と大幅に増加しています。
中間層の人でも、リストラや事故等で、貧困に陥ってしまうリスクを抱えているのです。
また、社会全体で見ても貧困は大きな問題です。生活が苦しいために子どもが産めないという方が多ければ、少子化問題は解決しません。
また、犯罪をしなければ生活できないほどの貧困に苦しむ人が増えれば、治安の悪化にもつながります。
このように、「貧困」という社会問題に関係ない人は一人もいないのです。
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日本人は「思いやり」「助け合い」の国といわれる一方で、助けるべき人を過剰に叩くような一面を見せることもあります。
不安定がために、誰しも不安を抱えて生きていくしかない社会に私たちは生きています。その不安をうっ憤晴らしのエネルギーに変換するのではなく、
助け合いの原動力にしたいものです。
(文/堀江くらは)