16/04/01 18:08:35.26 CAP_USER.net
米国株にも割高感が出てきた
そもそも、日本株の押し上げにもっとも必要な円安への転換が期待できない。米国サイドがドル安を志向している現在、
円高基調は規定路線である。最近になって、FRB高官から近いうちの利上げの可能性が示唆されていたことで、ドル高・円安に傾く場面もあったが、
イエレンFRB議長がこれを否定した。これにより、4月利上げの可能性はなくなり、再びドル安・円高に戻るだろう。
常識的に考えれば、来期の増益は想定できるはずがない。企業業績という、株価形成において最も重要な要因が悪化するのだから、
株価上昇は困難である。短期筋のカラ売りもそれほど多くない。したがって、買戻しを誘発して株価が上昇することもないだろう。
米国株にも同様に割高感が出始めている。トムソン・ロイターの調査によると、S&P500採用企業の2015年第4四半期決算は前年同期比で
2.9%の減益となったもようだ。また2016年第1四半期の一株利益については、95社が悪化もしくは市場予想を下回ると答えており、
改善または市場予想を上回ると答えている24社よりも多い。収益に対する警戒感が企業側に高まっているようだ。
2016年の予想PERは16.9倍であり、現在の株価水準には割高感が漂う。2016年第1四半期の決算発表が始まるが、
米国株はすでにかなり割高になっていたことが確認されることになろう。市場は4月11日発表の雇用統計やISM製造業景況感指数の内容に注目してい
るようだが、株価の方向性はすでに決まっているのだろう。最終的にFRBは利上げできず、これが結果的に株価を押し下げるだろう。
何より、米国株は1月に下げると一年間の株価パフォーマンスが悪化する傾向が鮮明だ。S&P500は1月に5.1%下落した。過去の同じようなケースでは、
1月末から年末までに平均で13.5%の下げに見舞われている。この場合、昨年5月の高値からの下落率は21%に達する計算になり、
弱気のベアマーケット入りとなる。実際には、1937年や2008年のように高値から37%程度下げるのではないかと考えると、
S&P500は現在の水準からさらに35%程度下げる。今の戻りはあくまで一時的ということになる。
1ドル87円に相当する日経平均は1万0960円
日本株に話を戻すと、ドル円はやはり円高基調で推移せざるをえない。前々回の本欄でも解説したように、為替相場はいったん円高トレンドに向かうと
、「最低でも」15カ月は続く傾向があり、今回は少なくとも9月までは円高基調は続くと考えられる。その場合のドル円のターゲットは87円である。
アベノミスク相場が始まって以降のドル円相場と日経平均株価との関係を見ると、ドル円の87円に相当する株価水準は1万0960円である。
しかし、実際には円高トレンドがこのような短期間で終わるとは考えにくい。2018年半ばまで継続し、ドル円も徐々に水準を切り下げ、
83円程度まで円安が進むことになるのではないか。その場合には、日経平均株価は1万円を試すことになる。
現時点でこのような相場に水準になるとは考えづらいとの声が聞こえてきそうだが、重要なことは、
過去にはこの程度の変動が実際に見られたという「事実」である。過去の動きを知らずして、将来を見通すことは出来ない。目先の材料を追いかけて、
株価動向を予想するのではなく、まずは過去データに敬意を払い、その上で現状と照らし合わせた上で、
今後の方向性を確認することが肝要である。そうすれば、目先の材料や値動きは気にならなくなり、市場を大局的に見ることができるだろう。