16/03/19 16:23:20.22 CAP_USER.net
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花粉を運び農作物作りに貢献するハチなどの生物がもたらす経済的利益は世界全体で最大年5770億ドル(約66兆円)に上ると
指摘した報告書を、国連が設置した科学者組織「IPBES(アイピーベス=生物多様性及び生態系サービスに関する
政府間科学政策プラットフォーム)」が発表した。一方で近年、ハチの減少が欧米などで顕在化し、ハチが自然界で担っている
受粉活動に支障が出ており、報告書は「このままでは将来の食料供給が脅かされる」として各国に保全策の強化を促した。
農作物の受粉手助け
IPBESは、名古屋市で開催された生物多様性条約締約国会議(2010年10月)で採択された、生物の多様性を守るための
「愛知目標」の達成度合いの評価や政策提言をするために12年4月に設立された。13年12月に最初の重要研究テーマとして
「花粉媒介者と食料生産の関係」を採択し、今回初めての報告書をマレーシアの首都クアラルンプールで22日から28日まで
開かれた第4回総会で発表した。
報告書によると、花粉を運ぶのは飼育されているミツバチや野生のハチの仲間が中心で、2万種以上。チョウやカブトムシ、
コウモリ、鳥類なども花粉を運び、果樹や野菜、コーヒーなどの受粉を助けている。
世界の主な食用作物の75%以上が、これらの生物に受粉を頼っていると指摘し、その貢献額は2350億~5770億ドルと試算した。
しかし、環境破壊や農薬の使用のほか、外来種、病気・害虫、地球温暖化などの脅威にさらされ、花粉を運ぶハチや
チョウ類の種別のうち40%以上、脊椎動物の16%が絶滅の危機にあると推定した。
人間が飼育するセイヨウミツバチの巣の数は、地球規模では増えたものの、欧米では群れがいなくなるなどして減少
。野生のハチも欧州北西部と北米で減少し、地域によっては40%近くも激減したとみられる地域もあった。
ハチの減少はネオニコチノイド系農薬の使用との因果関係が強く疑われ、欧州連合(EU)諸国はその使用
を13年12月から2年間禁止したが、報告書は「長期的な影響はまだ不明」とし、原因としてネオニコチノイド系農薬を特定しなかった。
アジアやアフリカ、中南米はデータ不足とし、「データの地域間ギャップを埋めることも、正確な現状把握に基づく政策立案に不可欠」と指摘した。
日本でもハチなど花粉を運ぶ生物がもたらす利益は年間4700億円に上るとの試算があり、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)の
研究グループは4700億円のうち、人間が飼育するセイヨウミツバチやマルハナバチの貢献は計約1056億円、
昆虫を中心とした野生生物による貢献は約3330億円と推計している。しかし、どの生物が、どの作物の受粉にどの程度貢献しているかは、
ほとんど分かっておらず、ハチが増えているか減っているのかさえも把握できていない。研究グループは
「得られる情報は極めて限定されている。将来に向け、長期的な動態を記録するための体制の構築が望まれる。
国内対策を取るため、まず現状把握が必要だ」と指摘している。
国連食糧農業機関(FAO)のジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ事務局長(66)は、今回の報告書発表を受けて「ハチなどの生物がいかに
“働き者”で、人間の生存に寄与しているかが分かった。世界中の農家にとって、こうした生物の不足は死活問題となる。
世界の持続的発展のためにも対策を講じることが必要で、放置すれば人間の食料安全保障が大きな危機にさらされる」とコメントした。
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