16/02/06 13:41:22.13 CAP_USER.net
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日本株が再び急落している。マイナス金利の導入で円安・株高への期待が高まったが、
政策発表後の2日には早くも株価が下落に転じるなど、その効果に対して懐疑的な見方が増えつつある。
日本株は主要企業が収益を輸出に頼っている以上、円安にならない限り、株価が上昇に向かうのは難しい。
しかし、マイナス金利が米国の金利低下を招き、結果的にドル安・円高につながるリスクがありそうだ。
前回の本欄では「今、株価が上昇する理由は見当たらない」とし、日銀が政策を打てず、株価は下げていくとの見方を示した。
しかし、日銀金融政策決定会合の結果は「マイナス金利導入」であった。筆者の想定はものの見事に外れた。
この日、株価は乱高下したものの、政策導入に対する一定の評価から上昇し、海外市場でもこれを材料に株価が大幅上昇した。
マイナス金利の中身については、すでにさまざまなところで解説されているため、
本欄では政策自体の説明を省略するが、問題はこの政策の今後の市場への真の影響である。
今回の日銀の政策を「黒田バズーカ第3弾」と呼ぶかどうかは別として、市場へのインパクトは残念ながら、
過去2回の量的緩和策とは比較にならないほど小さいものである。
むしろ、政策導入後の2日目に相当する2日には早くも株価が下落するなど、過去2回の緩和策では考えられないほど、
市場の反応はネガティブである。特に為替相場が円安になっていない。これは、市場にとって、
もっといえば日銀にとって大いなるサプライズであろう。ただし、今回の政策で日銀が狙っていたものは「円安・株高」ではないだろう。
この政策自体、「新三本の矢」を打ち出した以降、安倍政権がこれを放棄している可能性が高いからである。
とはいえ、3月決算を控え、このまま円高・株安を放置すれば、夏の参院選へのネガティブな影響は不可避となる。
とにかく、115円のような円高水準にならないように、政府が考えた最善の策がマイナス金利の導入だったのだろう。
しかし、現実には円高圧力は解消されていない。原油価格の急落で株安傾向が再び強まる可能性があり、
リスク回避先である円に資金が向かいやすくなっている。
また米国債の利回りの低下もドルの押し下げにつながっている。米10年債利回りは9カ月超ぶり低水準の
1.8%台にまで低下したが、まさに皮肉な展開にある。日本の金利が低下する中、投資家は外債など利回りが高い投資商品へ
資金を振り向けようとするだろう。ただし、為替リスクを取りたくないため、為替ヘッジを行う可能性が高い。
結果的に米国債が買われ、利回りが低下することで米国債と日本国債の利回り差が縮小し、
これがドル円の下押し圧力につながるといった構図になりつつある。為替はヘッジするため、円売りが出ず、
円安圧力にはならない。米国債の利回りの方が低下余地は大きいため、現在の金利水準を起点にすれば利回り差は縮小し、
ドル円は下げやすい。
日米の実質金利差からみたドル円の適正レベルは、長期で112~113円程度だが、2012年以降では103円程度となる。
102円程度までの円高の可能性を本欄で指摘してきた筆者の見方は、金利面から十分に説明可能ということになる。
バリュエーション面でも状況はきわめて厳しい。今期の日経平均株価採用銘柄の最新の予想EPSは約1170円である。
平均的なPERを15倍とすると、適正株価は1万7550円となる。割高の16倍に買われたとしても1万8720円である。
つまり、1万9000円以上は期待できないということになる。
一方、14倍にまで売られた場合には、1万6380円まで下げることになる。さらに13倍にまでオーバーシュートした場合、
1万5210円まで下落することになる。前述のように、ドル円が円高に向かえば、来期以降の収益見通しも下方修正され、
株価の上値は抑制されることになるだろう。
このように、円安をテコにした株高は期待しづらい環境にある。いずれはPER14倍の1万6380円から
13倍の1万5210円までの下げを覚悟する必要があろう。ただし、当面はレンジでの推移を想定している。
というのも、マイナス金利導入の影響を見極めたいとする投資家が売りを手控え、急落は避けられる可能性がある。
しかし、結局は円安にならないことがわかれば、投資家も上値を買い上げることはできない。
徐々に手仕舞い売りが膨らみ、来期の業績見通しの下方修正も加わり、下落に向かうだろう。