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■5年後の姿は「ミレニアム」の販社 「タケダイズム」の旗を降ろす武田薬品(下)
「5年後生存率はよくて5割かな」がん患者の余命宣言では、元よりない。国内製薬業界の雄である武田薬品が、名実ともに今のポジションを保てる見通しを信用調査会社の幾人かに聞いた最大公約数的な見解である。
同社では社内が軋むこともお構いなしに、クリストフ・ウェバー社長を筆頭とする経営陣によって聖域なき構造改革が断行されている。それは古き良き武田を知る者にとって、「腑分け」に近いグロテスクなものとなっている。果たして、「名門破壊」の先に待つものとは……。
◎自社創製品がない組織の末路
7月18日、ネガティブニュースの連続で消沈していた武田の一般株主は、久しぶりの好情報に一瞬とはいえ、胸を撫で下ろしたことだろう。
武田が08年に約8900億円で買収・子会社化した米ミレニアムが創製し、今や武田の最主力薬となっている多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」に”延命”の光が差し込んだからだ。
同薬の特許を巡って後発品メーカーと争っていた訴訟で、米控訴裁は同17日、特許の有効性を認めなかった一審の地裁判決を破棄し、ミレニアム側の主張を支持する判決を下した。
この判決がもし確定すれば、「ベルケイド」も22年までは新薬としての地位を保てることになる。
長谷川閑史前会長が相談役に退いたことを受け、その一挙手一投足に一層厳しい目線が注がれているウェバー社長にとっても、恵雨のニュースである。
司法が与えたアディショナルタイムの間に、やはりミレニアムが創製した潰瘍性大腸炎治療剤「エンティビオ」や新規多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」が大きく成長すれば、業績の極端な悪化は避けられる。
100%を超える配当性向だけでは物足りない、一般株主を中心としたステークホルダーが溜め込む「不満」をそれなりに軽減できるためだ。柔軟性を失った財務面の修復も進められよう。
そんなミレニアムとは対照的に、武田本体の新薬メーカーとしての衰退ぶりは目を覆わんばかりだ。足元のパイプラインの状況は、がん・消化器・中枢神経に絞り込んでもなお、同社のボードメンバーの構成比と同じように「舶来品の化合物がずらり」(業界関係者)。
開発コードに武田による創製を示す「TAK」を冠したものは第Ⅱ相以降にはほとんど見当たらない。
これでは誰が社長であっても、「打率に優れる」ミレニアムなど北米の研究開発拠点にR&Dのリソースを傾斜配分し、余剰感の強まる巨大な湘南研究所は当座、他人に貸し出すなどしてキャッシュを産もうと考える。
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