16/11/09 12:27:28.94 Lr4+0hno.net
周回遅れになりかねない日本のP2G開発
URLリンク(scienceportal.jst.go.jp)
欧州が力を入れているP2G技術の国際標準化の舞台においても、果たして日本の意見をどこまで反映させることができるか油断できない。
P2G技術の国際標準化については「水素技術の国際標準化」を担っているISO(国際標準化機構)の技術委員会197(TC197)で議論されている。
ISOのような国際標準化機関の中で自国に有利な議論を進めるためには、その技術委員会(TC)やTCの中に技術テーマごとに設置されるワーキンググループ(WG)において幹事国や議長といったポストに就くことが重要である。
しかし、日本はいくつかのWGのポストは確保しているものの大本の委員会であるTC197のポストはカナダ勢で占められている他、多くのWGのポストも欧米勢で占められている状況にある。
ポストを確保する以外に国際標準化機関の中で発言力を高める方法としては実証を基にした技術データーを他国より豊富に持つことで技術的知見から発言力を高める方法があるが、
前述の通り日本の実証実験は欧州に比べてその規模は小さい。欧州と比べてみると日本のP2G開発はかなり見劣りするが、そもそもP2Gに対する認識も欧州と日本では温度差がある。
前述の通り欧州は2030年の電源構成比における再エネ比率45%という高い見通しのもとエネルギー多元化の実現に向けた政策方針を立て、そのために必要な技術としてP2Gをはじめとするさまざまな技術開発を具体的に進めている。
一方、先ごろ公表された日本の2030年の電源構成を見通した「長期エネルギー需給見通し」における再エネの構成比率は22~24%程度と欧州のおよそ半分である。この点から考えても日本は欧州に比べてP2Gを開発する動機が弱いと考えられる。
経産省が昨年6月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を見ても再エネを活用したP2Gの実用化は2040年ごろとされており、欧州が2030年を目指して動いていることを考えると日本のP2G技術開発は欧州に10年も遅れることになる。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素エネルギー白書」では「世界の水素インフラの市場規模は、2020年には10兆円を超え、2030年には40兆円弱、2040年には80兆円、2050年には160兆円になる」とする民間研究所の試算を紹介している。
当然、P2G分野も大きな市場となることが予測されるが日本の今のままでの開発・普及スピードでは周回遅れになり市場の多くを失うことになりかねない。