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米為替操作規制、可決しても水準判断は不可能
By IAN TALLEY
2015 年 5 月 18 日 16:03 JST
オバマ米大統領が最重要課題として掲げる環太平洋経済連携協定(TPP)の締結が
実現するかは、為替操作国に対する制裁法案の先行き次第となりそうだ。しかし、
貿易相手国による自国通貨安誘導をやめさせることはとても一筋縄ではいかない。
米議会では、TPP締結を容易にする大統領への貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)
付与法案の上院での審議入りが決まったばかりだが、議員、企業や組合は、輸出振興目的で
故意に自国通貨を減価させていることが疑われる国に対し、TPP交渉を利用して再び攻撃を
仕掛けようとしている。米国ではここ10年、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)
などの主要機関を悩ませてきた為替のバリュエーションをめぐり、議論が続いている。
一部の議員は有権者が長らく抱いてきた不満を吸い上げ、強制力のある為替条項を
TPP交渉に盛り込むよう求めている。TPP交渉には現在12カ国が参加しており、参加国の
国内総生産(GDP)は合計で世界の40%に達する。ミシガン、オハイオ、ニューヨークなど、
製造業の比重が高い州から選出された議員は特に、TPP参加国や韓国、中国といった
将来的に参加が予想される国々が自国通貨を減価させれば、
TPPから得られるはずの利点はすべて消えてしまう可能性があると懸念している。
通貨を切り下げた国が生産コスト削減や輸出促進などの恩恵を受ける一方で、その貿易
相手国は打撃を被る。例えば、一部のエコノミストや企業は、中国の過去10年間の
為替政策のせいで数百万人もの米国民が仕事を失ったと指摘している。中国政府は
人民元相場を市場のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が示唆するレートより4
0%も低い水準に維持することで、輸出企業を支援しているという。
米自動車大手フォード・モーターの海外渉外担当副社長、スティーブン・ビーガン氏は
「為替操作こそが全ての貿易障壁の源だ」と述べた。同社をはじめとする米自動車メーカーは、
海外での競争力強化を狙って自国通貨安を誘導している国を対象とした制裁法案を後押ししている。