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【英エコノミスト誌】 ピケティ氏の理論が最も当てはまらない場所は日本だ 富の格差は大きくない
(英エコノミスト誌 2015年2月14日号)
トマ・ピケティ氏のベストセラー『21世紀の資本』には、富がいよいよ一部に集中するようになったもう1つの先進国として日本が登場する。
日本は間違いなく、この本がよく売れているもう1つの先進国だ。ピケティ氏は先日東京を訪れ、熱烈な歓迎を受けた。
だが、日本は同氏の理論が最も当てはまらない場所かもしれない。
■日本の富の格差は決して大きくない
1991年の日本の資産バブル崩壊は、この国の富裕層が米国や多くの欧州諸国ほど多くの財産を築かなかった理由の1つだ。
日本の 富裕層上位10%が保有する富の割合は、ノルウェーやスウェーデンなど平等主義で有名な国よりも低い。
実際、クレディ・スイス・リサーチ・インスティチュートが調査した46の経済国・地域の中で下から2番目の低さで、唯一ベルギーより高いだけだ。
また、一番の富裕層に流れる所得の割合は、かなり安定している。米国と比べると、経営者報酬の水準ははるかに真っ当だ。
米ウォール・ ストリート・ジャーナル紙のためにピケティ氏の協力者たちが用意した分析によると、キャピタルゲインを除くと、
日本で上位1%が手にする 国民所得の割合は、2008年につけた9.5%のピークから2012年の9%に低下した。
だが、別のタイプの不平等が拡大している。最も重要なのは、『21世紀の資本』が言うような超金持ちとその他の格差ではなく、終身契約
の特権階級の労働者と、労働人口に占める割合が高まっている、より不安定な雇用の労働者の格差だ。
終身雇用の従業員の平均年収は 500万円前後で、それほど身分が保証されていない労働者のそれは200万円だ。
多くの人は、日本に本当に必要なのは、今よりずっと大きな不平等、ただし別の種類の不平等だと主張する。
日本の雇用制度はまだ、成果よりも年次と地位に対して報酬を払う。これは日本人が「悪平等」と呼ぶものだ。
もし働く人が達成した成果に対して報酬を支払われたら、経済はより速く成長するとモルガン・スタンレーのロバート・フェルドマン氏は主張する。
また、慢性的に低い日本の事業創造の水準は、胸が躍るような新製品や新サービスを作ることで大富豪になる起業家によって
生み出される類の富の格差が心配になるほど小さいことを意味している。
そうした事情にもかかわらず、『21世紀の資本』はこれまでに日本で13万部以上売れた。700ページのこの大冊を万人向けに解説した書籍もよく売れている。
ピケティ氏のタイミングも理想的だった。というのも、安倍晋三首相の経済再生計画「アベノミクス」に対する疑念の高まりにうまく乗ったからだ。
ピケティ氏は日本を訪問中に、安倍氏の計画は資産価格を押し上げることで持てる者と持たざる者の差を広げる可能性があると警告した。
だが、皮肉なことに、安倍氏が目下抱いている主な経済的関心事は、大企業をせっついて労働者の賃金を引き上げさせることなのだ。
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