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【芸術家つんく、栄光の軌跡】 ■第二十回■
生まれて初めてバットを握り打席に入った光男少年は
初球を力一杯振りぬき、ボールははるか空の向こうへ
消えていった。同級生たちの大歓声の中ゆっくりと
ホームベースへ走り抜けるとそのまま家路につこうとした。
「光男くん、もう帰るのかい?」
興奮した同級生が訊ねると、
「ああ、これから帰って作曲しなければならないからね。
忙しいんだ。後は諸君に任せるよ」
と優しく答えると足早に帰っていった。同級生たちは
しばらくの間、畏敬の念をこめて光男少年を見送っていた。
(第二十一回に続く)