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【芸術家つんく、栄光の軌跡】 ■第十七回■
戸の外には光男少年が立っていた。
両の目からは涙が溢れていた。光男少年は両親の元に
駆け寄ると声を詰まらせながら言った。
「もういいんだよ。僕が辛抱すればいいんだ、大丈夫だよ。
みんなに合わせるようにするから・・・」
小学一年生とは思えない健気な言葉に皆が泣いた。
光男少年の親を思う気持ち、担任を慕う心・・・。
そこには深い愛が満ち溢れていた。言葉は要らない。
彼らの前に寺田光男という類稀なる天才がいる、
その天才少年は奢ることなく人間としての王道を
歩み続けていた。
「彼は間違いなく偉大な音楽家になるだろう」
担任は光男少年を見つめながらそう思った。
(第十八回へ続く)