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【芸術家つんく、栄光の軌跡】 ■第五回■
静まり返った室内にショパンのソナタが静かに流れた。
約10分ほどの奇跡の演奏を終えた光男少年は演奏後、
来客に会釈をすると黙って部屋を出て行った。
来客たちは身じろぎもせずただ椅子に座っていたが、
やがて我に返ったように大きな拍手を天才少年に送った。
先ほどの男女は椅子に座ったまましばし呆然としていたが、
やがて恥ずかしそうにそっとその場を離れた。
これはありえることなのであろうか? と人々は皆、
己の胸に問うた。しかしありえないことが現実のこととして
彼らは目撃したのであった。彼らは歴史的瞬間に立ち会った
言い知れぬ興奮と高揚感でいつまでも語り合っていた。
(第六回に続く)