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河川敷に「犬の死骸」44匹 「子犬工場のビジネスモデルはもう通用しない」と弁護士
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弁護士ドットコム 2014年11月12日 14時03分
栃木県の宇都宮市と那珂川町で、大量の犬の死骸が発見された―こんなニュ
ースが11月上旬、話題になった。犬の死骸は、10月31日と11月1日に宇都宮市の
鬼怒川河川敷で44匹見つかった。11月5日には那珂川町の山中で、27匹の死骸と
衰弱した犬5匹が発見されたという。
報道によると、発見された犬はいずれも毛玉がひどく、爪がのびており、一部
の犬は蚊が媒介する伝染病「フィラリア」に感染していた。犬種はミニチュア
ダックスフントやトイプードルなどの人気犬種で、雌犬の多くは数回出産した
形跡があった。栃木県警は、悪質な繁殖業者らが劣悪な環境で犬を飼育し、処
理に困って捨てた可能性があるとみているという。
何の罪もない犬たちが死骸となって発見された今回の事件には「酷すぎる」
「あり得ない」「絶対に許せない」と非難する声がネットで広がった。犬を捨て
たとみられる繁殖業者は、何らかの罪に問われるのだろうか。動物愛護法にく
わしい細川敦史弁護士に聞いた。
●繁殖業者はどんな罪に問われるのか?
「動物の死体は、一部の例外を除き、廃棄物処理法上の『一般廃棄物』に該当
します。犬の死体を捨てたのであれば、いわゆる不法投棄として廃棄物処理法
違反となります。今回のケースで、警察は廃棄物処理法違反で捜査を進めてい
るようです」
廃棄物というのは、あんまりな気がするが・・・。まだ生きている犬もいたが、
そちらはどうなのだろうか?
「生きている状態の犬を捨てると、捨てた場所や状況によっては、動物愛護管
理法の動物遺棄罪が成立します。ネットでは、犬をモノ扱いせず、動物遺棄罪
で捜査すべきとの意見が散見されますが、警察は初動段階の事実関係から、そ
うした形で捜査を進めているだけで、最終的な判断ではないでしょう」
細川弁護士はこう述べる。
●動物は「大量生産・販売・消費」のシステムになじまない
今回の犬たちは、悪質な繁殖業者によって捨てられた可能性があると、警察は
見ているようだ。業者はどのような対応を取るべきだったのだろうか。
「業者が、繁殖に適した年齢を過ぎた犬などを自治体に引き取ってくれるよう
求めても、拒まれる可能性があります。これは、昨年施行された法改正による
ものです。
繁殖業者には、管理できなくなるような頭数を飼育しないこと。そして繁殖を
引退した犬については、引き取り先を探して、余生を全うさせることが求めら
れています」
犬を繁殖させ、育てる人たちは「ブリーダー」と呼ばれている。これに対し、
犬を無計画に繁殖し、経営に行き詰まったら処分する悪質な繁殖業者は、「パ
ピーミル(子犬工場)」と呼ばれるのだと、細川弁護士はいう。
「命ある動物は、単なる『モノ』とは違い、大量生産・販売・消費のシステム
にはなじみません。このような考え方が社会に広まるにつれ、ペット販売の法
規制が強まってきました。その結果、従来のビジネスモデルは通用しなくなっ
ています。こうした流れに付いていけず、事業が立ち行かなくなった繁殖業者
は、ペット用品の販売などに転換するか、ペット産業自体から撤退することも
現実的な選択ではないかと思います」
このように、細川弁護士は指摘していた。