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植物状態の人にも意識がある:脳波解析で明らかに
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WIRED 2014.10.20 MON
植物状態等とされる人々であっても、健康な人に近い脳のネットワークを保持
している場合があるという研究結果が発表された。「テニスをしているところ
を想像させる」試験や、脳波分析について紹介。
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↑画像:反応を示さない状態であるにもかかわらず、患者(画像中央)は健康
な成人(画像右)と同様の脳活動を示した。画像内の弧状の線の高さは、両端
における脳領域間の連結の強さを示す。
重度の脳損傷を受けたのち、いわゆる植物状態や最小意識状態に陥る場合があ
る。このような人は、言葉を発したり自分の意思で体を動かすことができず、
周囲の世界も認識していないように見える。
ところが近年、神経科学の分野において、このような患者の一部が、少なくと
もある程度の意識をもっている可能性を示す兆候が明らかになっている。
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冒頭の驚くべき画像は、『PLOS Computational Biology』に発表された研究*の
ものだ。ケンブリッジ大学のスリバス・チェヌ率いる研究チームは、患者32人
と健康な成人26人を対象に、神経が示す意識の兆候を探った。* URLリンク(www.ploscompbiol.org)
その方法は、脳波(EEG)信号を使って被験者の安静時の脳活動を記録し、それ
らの信号をグラフ理論[ノード(節点)の集合とエッジ(枝・辺)の集合で構
成されるグラフの性質について研究する数学の一分野]を用いて解析し、脳領
域を結ぶさまざまなネットワークの連結の強さを評価するというものだ。
その結果、外界に対して意識の兆候を示していない、植物状態にある患者のほ
とんどは、正常とは大きく異なるネットワークを示した(画像左端)。しかし
患者のうち3人だけは、健康な成人(画像右端)により近いネットワークを示し
た。画像中央がそのひとりの脳活動だ。
2006年に『Science』誌に発表された画期的研究*において、今回と同じ研究者
を含む研究チームが、患者に「テニスをしているところを想像させる」などの
試験を行った。健康な被験者では、動作の計画をつかさどる脳の領域が活性化
する試験だ。* URLリンク(www.sciencemag.org)
チームがfMRIを使って脳活動をスキャンしたところ、植物状態に陥っている23
歳の女性において、健康な人と同じ脳領域の一部が活性化した。これは、その
女性が指示されたことを理解し、実行できるだけの意識を保持している証拠だ
とチームは主張している。
今回の研究では、EEG検査で正常なネットワークの兆候を示した植物状態の患
者3人がすべて、この「テニス試験」をクリアした。ただし、テニス試験をク
リアした植物状態の患者はもうひとりいたが、こちらはEEG検査で正常に近い
ネットワークを示さなかった。
チェヌ氏によると、EEGの利点は持ち運びがしやすく、患者のベッドサイドで
使いやすいところだという。しかし、これらの患者を正確に評価するためには、
EEGによるネットワーク検査とfMRIによるテニス試験を組み合わせて用いる必
要があるだろうと同氏は述べている。