14/03/19 12:48:47.87
★博奕十王
こわ~い閻魔(えんま)さまが、獄卒(地獄の下級役人)を伴って亡者を待ち構えている。
そこへやって来たのは大きなサイコロの入った袋を肩にかけた男。
あの世にまで賭け道具を持参するとは、筋金入りのギャンブラーだ
▼閻魔大王は生前の罪業をとがめようとするが、
「娑婆(しゃば)ではみんな寄り集まって楽しんでいる」というばくち打ちの口車に乗せられ…。
賭けに興じた末に、獄卒ともども身ぐるみを剥がされてしまう
▼狂言の「博奕十王(ばくちじゅうおう)」。
舞台は、賭けるものが無くなった大王が男を極楽まで道案内するというハッピーエンドで終わる。
でも、賭博の味を覚えてしまった冥府の長官が、その後“ギャンブル地獄”に陥っていないか。
ちょっと心配になる
▼狂言には、賭け双六(すごろく)の最中に口論となり、相手と斬り合って死んだ男の幽霊が、
旅の僧に回向(えこう)を頼む「双六僧」という演目もある。
昔の人々も賭けの“魔力”が身に染みていたのだろう
▼いま国内でカジノ解禁を目指す動きが急だ。
カジノを中心とする総合型リゾートの整備を促す法案が国会に提出されている。
道内にも施設誘致を求める声があり、高橋はるみ知事は来月下旬、韓国済州島のカジノを視察するそう
▼「外国ではみんな寄り集まって楽しんでいる」「地元経済も潤う」―。
惹句(じゃっく)ばかりが踊るが、賭博場とその周辺に“この世の地獄”はないのか。
視察する知事の眼力と品性が試される。2014・3・19
北海道新聞 URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)