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★福島の汚染水 現状の説明が足りない 02月03日(月)
東京電力福島第1原発の汚染水問題は、いまも深刻な状況が続いている。
第1原発の海側にある観測用井戸で1月20日に採取した水から、ストロンチウムなどの放射性物質が、
1リットル当たり310万ベクレルという過去最高の値で検出された。
ストロンチウムは体内に入ると、骨のがんや白血病の原因になるといわれている。
法定基準は30ベクレルだから、汚染濃度は極めて高い。
昨年12月はじめに採取したときは130万ベクレルだった。その後、急上昇してきている。
東電は、汚染水の海への流出を防ぐため地下水をくみ上げている影響で
「高濃度の汚染水が、井戸付近に流れ込んでいる可能性がある」との推測を繰り返し示している。
なぜ濃度が上がっているのかがはっきりしない。
原子炉1~3号機で溶け落ちた核燃料の状態は把握できていない。
原子炉建屋を貫通し地下水脈に達したのでは、とみる識者もいる。
周囲の環境をさらに悪化させる恐れはないのか。国と東電は詳しく、分かりやすく現状を説明してもらいたい。
昨年はトラブルが相次いだ。地下貯水槽、地上の貯水タンク、核物質の除去装置で汚染水漏れが発覚。
海側にある地下道にたまった汚染水が拡散し、海に流れ出ていることも明らかになった。
東電は海側の地盤を改良したり、貯水タンクの耐久性を高めたりといった対策を講じた。
けれど常に後手に回り、国内外の不安と批判を招いている。
最近も、第1原発の敷地境界で被ばく線量が基準値の8倍に上っていることが判明した。
増設を続ける貯水タンクの場所が、境界近くまで広がっていることが要因とされる。原子力規制委員会が改善策を求めている。
東電は、建屋と地下道の接続部に凍結管を打ち込み「氷の壁」を造る工事を始めた。
港湾口などで放射性物質濃度を常時測定する計画も示している。こうした海洋流出対策に、もっと早く着手できなかったのだろうか。
安倍晋三首相は施政方針演説で、第1原発について
「東電任せとすることなく、国も前面に立って、予防的・重層的な対策を進める」とだけ述べた。
汚染水対策、除染、廃炉に国費投入を決めた政府として、予断を許さない現状をしっかり説明すべきだ。
放射性物質の観測やデータの分析も東電任せにせず、民間団体を加えるなど、状況把握に客観性を保つ工夫も求めたい。
信濃毎日新聞 URLリンク(www.shinmai.co.jp)