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★行き場失った核のごみ 国民的な議論必要
大分政経懇話会１０月例会は９日に臼杵市の喜楽庵、１０日に大分市のトキハ会館であり、
共同通信社編集委員の太田昌克氏が「『３・１１』が照射したもう一つの神話～日本の核政策を考える」と題して講演した。
要旨は次の通り。
●現実的な道筋示せず
小泉純一郎元首相は今月初めの講演で、政府の原発政策に関して
「核のごみについて処分場の当てもないのに原発を進めるのは無責任だ」と発言した。全く同じ意見だ。
原発で使い終わった核燃料を再処理した上で、取り出したプルトニウムとウランを混合酸化物（ＭＯＸ）燃料にし、
高速増殖炉で再利用する。資源に乏しい日本は世界で唯一、この「核燃料サイクル」を国策として推進してきた。
だが福島第１原発事故を機に、日本が６０年近く目指してきた核燃料サイクル計画は破綻した。
原発が稼働を停止し、ＭＯＸ燃料を使うプルサーマルのめどは立たない。高速増殖炉の実用化は困難だ。
核燃料サイクルは神話にすぎず、見直さざるを得ない状況にある。
日本はいま、再処理によって核爆弾数千発分に相当するプルトニウムを保有している。
非核保有国の中で圧倒的な保有量だが、プルトニウムを再利用する現実的な道筋を示せていない。
原発事故が起きる前、政府はこれ以上の核物質をため込まないよう、
全国１６～１８基の原発でプルサーマルを行う計画を推進していた。
だが事故後、世論調査でも半数以上が「脱原発」を支持する中、はたしてそれだけの原発を再稼働できるのか甚だ疑問だ。
●再稼働ならさらに増
原発を再稼働すれば、使用済み核燃料という「核のごみ」はさらに増える。
どの原発でも使用済み核燃料の貯蔵プールの容量に余裕はない。
一方で、再処理をすれば消費するめどが立たないプルトニウムも増えていく。
日本は今、核のごみが行き場を失っている。
「核なき世界」を掲げるオバマ米大統領は兵器転用の危険性などを懸念し、大量保有を問題視している。
日本は余剰プルトニウム問題を真剣に議論し、米国、国際社会に問題の「解」を示す必要がある。
大切なのは次世代にごみ処理という“負の遺産”を持ち越さないこと。
電力で利益を享受しながら、ごみの始末は先送りすることはあってはならない。
核のごみ処理について国民的な議論を始め、答えを見通さない限り、日本の原子力政策に持続可能性はない。
大分合同新聞 URLﾘﾝｸ(www.oita-press.co.jp)
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