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★独首相3選へ 欧州の安定に指導力を(9月26日)
欧州の安定化に向けて責任はいよいよ重くなった。
ドイツ連邦議会(下院)の総選挙でメルケル首相率いる与党キリスト教民主・社会同盟(同盟)が大勝した。
メルケル政権は3期目に入る。
ただ単独過半数には届かず、最大野党社会民主党との大連立協議が行われる。
欧州連合(EU)最大の経済大国ドイツは引き続き、危機にあるユーロ圏再建の命運を担う。
ドイツ国民の間には一層の負担増を嫌い、ギリシャなどの南欧支援に慎重な意見も根強い。
だがドイツの支援なしに欧州が債務危機から脱するのは不可能だ。メルケル氏の指導力が求められる。
今回の総選挙はメルケル氏への信任投票の色合いが濃かった。暫定集計によると、同盟の得票率は41・5%に上った。
メルケル氏は選挙戦で「私の首相就任以来、国の借金は減り、好況が続いている。強いドイツを維持したい」と胸を張った。
といえる。
冷静で勤勉、質素な生活ぶりから「国民の母」と慕われる一方、債務危機国に対しては緊縮政策を迫る「鉄の女」の顔も持つ。
問題は連立の行方だ。議席を失った自民党に代わり、社民党との連立協議に入る見通しだ。
しかし、第1次メルケル政権(2005~09年)で大連立を組んだ社民党は妥協を重ねたにもかかわらず、
首相の陰に隠れ、前回総選挙で惨敗した。党内からは野党にとどまるべきだとの意見も出ている。
また南欧支援について社民党は積極姿勢だが、厳しい緊縮財政を求めるメルケル氏の手法には批判的だ。
連立協議は難航が予想される。
ドイツ国内には放漫財政の末、危機に陥った南欧への支援に反対の声も強い。
議席獲得はならなかったが、ユーロ圏離脱を訴える「ドイツのための選択肢」の善戦はその証左といえる。
一方、直近のギリシャやイタリアの総選挙では財政緊縮路線反対の勢力が伸長した。
痛みを強いられる側の反発は予想以上に大きかった。
欧州の政治的安定と経済の発展にはユーロ圏を守ることが不可欠だ。ドイツ自身、その恩恵を受けてきた。
ギリシャへの追加支援が避けられない見通しの中、今後のユーロ圏の在り方を左右する重大局面である。
メルケル氏は難しいかじ取りを迫られる。
一方、東京電力福島第1原発事故を機に22年末までの脱原発に転じた方針は揺るぎない。
成長政策との調和や代替エネルギーへの転換をどう進めていくかも注視したい。
北海道新聞 URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)