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「このヤロー」―。刃物を手にした男は、叫びながら、辺りの人を次々と切り付けた。
東京メトロ東西線・東陽町駅前で１９日朝、発生した事件。
通勤・通学ラッシュでごった返す中での凶行に、駅周辺は一時、逃げまどう人の悲鳴で
騒然とした雰囲気に包まれた。男は４人に軽傷を負わせた後、さらに通行人を追いかけ続けたが、
最後は襲いかかった男性らに、その場で取り押さえられた。
この日午前８時過ぎ、刃物を持った男は、東陽町駅近くの交差点付近で通行人に襲いかかった。
現場近くで街頭演説をしていた、江東区議の斉藤信行さん（６４）によると、「このヤロー」と
叫びながら走ってきた男は、いきなり信号待ちをしていた人に突進し、刃物を振り回したという。
近くにいた支援者の知人男性が背後から右肩付近を刺された。
「『息が苦しい』と訴えるので上着を脱がせると、下着が血で真っ赤に染まっていた」という。
斉藤さんは、「男は血走った目で、通行人を無差別で刺していた。目の前でこんな事件が
起こるなんて」と声を震わせていた。
同じ頃、近くの喫茶店では、中年の女性が「刃物を持った男が暴れている。助けて」と
飛び込んできた。同店の男性従業員（３７）が外に出ると、両手に刃物を持った男が
駅前の横断歩道をゆっくりと渡っていた。
男は東陽町駅の出口近くで、スーツ姿の男性に小走りで近付くと、身を翻して逃げようとする
男性の背中に切りつけた。異変に気付いた周囲の通勤客らが悲鳴を上げながら一斉に逃げ出し、
混乱はさらに広がった。
読売新聞 3月19日(火)14時32分
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