13/02/02 18:41:40.34
韓国ソウル市。サムスン電子の本社で、創立記念日の11月1日に毎年行われる記念式典が昨年も盛大に催された。
数日前に発表された2012年7~9月期連結決算は過去最高の営業利益を計上。それにもかかわらず、式典であいさつした
同社幹部は厳しい表情で「サムスンの危機」を訴えた。
「油断すれば一瞬で没落してしまう」
■開発“先行”でも商品化で遅れ
業績は絶好調だが、スマートフォン(高機能携帯電話)をめぐって米アップルとの特許係争が泥沼化。その上、中国企業が
低価格スマホで攻勢を強めるなど、経営を取り巻く環境は決して順風満帆ではない。
なかでもサムスンの弱点は「技術開発のノウハウの少なさ」(関係者)という指摘は多い。
サムスンはライバル企業の研究者を引き抜き、技術を吸収することで成長してきた。日本の数多くの研究者も高額の
ヘッドハンティングの対象だが、引き換えに「収益に結びつく技術だけを求め、長期的な開発や研究者の育成を怠ってきた」
(証券アナリスト)。
その“負い目”をサムスン自身も実感しているからか、パナソニックやシャープなど日本企業の技術力に対して畏敬の念を示す
幹部は少なくない。
「日本企業に足を向けては眠れない」。豪腕で知られる李健煕(イ・ゴン・ヒ)サムスン会長は口癖のようにこう話す。関係者に
よると、サムスンが半導体事業に本格参入した1970年代、日本のある大手メーカーから技術指導を受けた恩義があるという。
日本は技術の“教師”だが、皮肉にも業績面では立場が逆転している。
日本企業は海外のライバルがうらやむ先端技術を持ちながら、なぜ企業間競争で勝てないのか。最大の元凶は「商品化への
スピード感のなさ」だ。
米ラスベガスで1月上旬に開催された世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、
サムスンは画面が曲がるスマホの試作機を発表。韓国LG電子は画面がカーブした有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビを
公開し、「日本企業の一歩先をいく技術」(関係者)と称賛された。
しかし、事実は少し異なる。6年前の07年に、ソニーは曲げられる有機ELディスプレーを世界で初めて発表。当時、専門家の
注目を集めたが、いまだに商品化には至っていない。有機ELテレビについても、韓国勢が今年前半までに発売するのに対し、
日本企業の発売日は白紙状態である。
■柔軟な多様化こそ活路
「日本は石橋をたたくだけたたいても渡れず損をする。一方、韓国はさっさと渡った後で、他の国が渡れないように橋をつぶして
しまう」
サムスンの元社員はこう例える。決断が遅く、他国に市場を独占されてしまうのが、今の“日の丸家電”の現状だ。
「今こそ製造業の現場で働き、パナソニックやシャープを変えてみたい」。大阪市内に住む理系の男子大学生はこう話した。
パナソニックが1月20日に大阪市内で開催した就職説明会には、2000人以上が参加した。来年度は海外を合わせて
計1450人の採用を計画しており、これは平成23年度に比べ増加。「コストがかかっても人材を掘り起こすことが当社を救う」
(担当者)と前向きだ。シャープも今年度は国内外で530人を採用予定という。
「知っていても実行しなければ、知らないことと同じだ」。パナソニックの創業者、松下幸之助氏はかつて経営についてこう説いた。
研究開発や人材獲得の意欲は海外勢に負けていないが、商品化の遅れや市場を創造できないなど日本の家電各社の未来は
かすんだままだ。「家電」という枠組みに縛られず、いかに多様な事業を展開できるか。日本企業に求められているのは、しなやか
で、したたかな脱・家電経営なのかもしれない。
ソース(MSN産経ニュース) URLリンク(sankei.jp.msn.com)
図表=日韓の有機ELの開発動向
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
写真=サムスン電子が公開した画面を曲げられるスマートフォンの試作機
URLリンク(sankei.jp.msn.com)