13/01/04 08:16:40.53
「宵越しの銭は持たねえ!」ときっぷのいい江戸っ子も、現代に暮らしたら、貯蓄に走っただろうか。将来に不安を感じてお金を
使わない人が増え、物価が下がり続ける「デフレ」に陥って十数年。多くの企業の利益が減り、従業員の雇用や賃金が悪化し、
皆が一層お金を使わなくなる悪循環に陥っている。新政権のもとで好転すればいいのだが…。
Q 今年こそ、給料が増えるといいな。
A そうだね。でも壁も残っている。経営者の団体と労働者の団体が、新年度の賃金水準などについて話し合いを始めたけど、
経営者側の主張は厳しい。給料全体を底上げする「ベースアップ」は「論外」で、勤務年数に応じて給料を高くする「定期昇給」も
「延期・凍結」すると言っている。二〇〇八年のリーマン・ショックの後でさえ、ここまで厳しい対応ではなかった。
確かに企業の経営や暮らしに関わる根深い問題として、物価が下がり続ける「デフレ」がある。物価動向を示す「消費者物価
指数」は、一九九九年から二〇一一年までの十二年間で3・7%下がった。
Q 物価が下がるなら、生活者にとっては助かるじゃない。
A 技術革新が起きて、今まで手が出なかった高級品が安く買えるようになったのであればいいよね。生活水準も上がるし、
みんな欲しがって消費が活発になるだろう。こういう場合は「良いデフレ」と呼べるかもしれない。
でも、今のデフレはちょっと違う。人々がお金を使わなくなって生まれた「悪いデフレ」と言われているんだ。九〇年代から
バブル経済の崩壊や金融危機といった苦境が続いて、人々が「将来どうなるか分からない」と不安になった結果でもある。
Q 新政権はどうするつもりかな?
A 民主党が子ども手当など家計に直接現金を配ろうとしたのに対し、自民党の経済対策は、企業活動をてこ入れして収益を
上げ、賃金に波及させようという考え方だ。企業同士の取引が活発になると、原材料の仕入れ価格が上がったり、事業で使う
お金を借りたい人が増えて、銀行の金利も上がる。そういうコストが上乗せされて、私たちに届く商品やサービスの価格も
上がってくる。そこで買い控えが起きたりしなければ、企業の業績が良くなって、給料も上がる-という好循環が生まれるかも
しれない。
Q 給料が上がれば、ようやく車の買い替えができそうだ。
A ところが、企業の収益が上がったとしても、私たちの暮らし向きが良くなるとは限らない。経営者は今、もうかったとしたら、
成長が見込める新興国での事業に使いたがっている。だから、賃金とか、国内に出回るお金がなかなか増えない状況が問題
なんだ。
過去にも実例があって、〇二年から〇七年にかけては戦後最長の景気回復だったけど、賃金は上がらず「実感なき景気拡大」
と言われた。この時は原油高にも見舞われてガソリンとか一部の物価が急騰し、生活者は大打撃を受けたよね。
Q 今年も家計は負担ばかりが増えるのかな。
A 総務省の家計調査によると、勤め人のいる世帯の収入は、一一年は月平均四十六万二千円で、十年前より三万五千円
減った。逆に、税と社会保障の負担は四千円増えたから、実際に使えるお金は三万九千円減ったことになる。
さらに一四年四月からは、消費税が8%に上がる可能性がある。今年の秋に引き上げるかどうかを判断する時期が来るよ。
Q 給料が上がらないのに、消費税を上げられるの?
A 法律では、消費税を引き上げるための条件を「経済状況の好転」と定めているが、漠然としていて、明確な基準はないとも
いえる。安倍政権がいろいろな経済指標を基に決めることになるけど、景気や暮らしへの悪影響を考えて慎重に判断するべき
だろう。
ソース(東京新聞) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
図表=収入と負担割合の推移
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)