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ソース(東洋経済オンライン) URLリンク(toyokeizai.net)
日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マイ ンドセット、行動が必要となるのか。
国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
第3回目は、小泉内閣において、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣を務めた、竹中平蔵・慶応大学教授が、
優れたリーダーの共通点を語る。
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■昔の民主主義は、もっと厳しかった
今の日本には、問題解決のための案を出さず、批判ばかりしている人が多い。小泉内閣の中にいて批判ばかりされている
ときに、批判のパターンは3つしかないことに気がついた。
1つは、反対のことを言えばいい。金利が下がれば、「金利が下がったら、年金生活者が困る」と言い、金利が上がれば
「中小企業が困る」と言う。このやり方であれば、いつも批判することができる。
2つ目は、永遠の真理を言えばいい。たとえば、「もっと戦略的に考えないと駄目だ」とか、「もっと目線を低くして考えないと
駄目だ」といった正論を言う。戦略的に考えなくていい、という人は誰もいないので、否定しようがない。
3番目は、相手にラベルを貼ってしまえばいい。「あいつはアメリカ原理主義者だ」とか。これはもう思考停止だ。
どうしても人を批判しなければならないときは、この3つのパターンのどれかを使えばいい。この3つには明らかな共通点がある。
それは、どうすればよいかという対案がないということだ。
昔の民主主義は、もっと厳しいものだった。自分が何かを主張したら、「じゃあ君やってみろ」と言われるし、「あなたは死刑の
執行に賛成か?反対か?」と聞かれて、「賛成だ」と答えれば、「では、あなたが執行してください」と言われかねなかった。
そうした厳しさが、民主主義の一つの原点だった。
ところが今の日本には、人の批判だけをしていればいい、心地良い空間ができてしまった。「あのお年寄りかわいそうじゃないか。
何とかしろ」と主張はするが、「では、しばらくの間、あなたがお小遣いを削って支えてください」と言われると、「いやいや、それは
俺の問題ではない」と逃げることができる。
批判に耐える力は、リーダーにとってもっとも重要だが、批判に耐えるのは本当に大変だ。
小泉政権時代、不良債権処理のために公的資金注入を決めた翌日、新聞の論調は反対のほうが多かった。それを小泉さんに
伝えたところ、「気にしなくていい。そのうちわかるから」と一言だけ言った。これこそが、腹の太さだ。しかし、普通はみな、周りに
どう思われているかが気になってしまう。結局、批判に耐えて、自分が信じた事を信じる力こそが、信念だと思う。
批判に耐えるために大事なのは、「捨てる力」だ。今の地位を失ってもいい、いつ辞めてもいい、と思えるかどうかで、批判に
対する対抗力が違ってくる。大臣時代も、私はケンカする必要があれば、いつでも受けて立つ覚悟だった。私には守るものは
なかったが、守るものがある人は大変だと思う。
■成功者の足を引っ張るな
これからのリーダーは、しがらみのない、若い人から出てくるはずだ。「英雄は若者から学ばなければならない」という言葉が
あるが、それは正しいと思う。
今、慶応大学で、「イノベーション&リーダーシップ」という寄付講座をやっている。そのスポンサーになってくれているのは、
着メロなどを手掛けるフェイスの平澤創社長。彼は、いろいろなところから講演を依頼されるが、大人相手にやってもムダだから、
講演しないと決めているそうだ。彼は、「自分が起業できたのは、若くてリスクを感じなかったから。失うものがないというのは、
すばらしいこと。だから、若い人の前では講演をする」と言っていた。
(>>2以降に続く)