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韓国の「日本のスワップ不要論」は強がりばかりではない。本気でそう考えている人も多い。
2011年10月19日に日韓スワップの増額が決まった時、青瓦台(大統領府)は
面子を保つために「韓国は外貨に困っていないのだが、日本がスワップを結んでくれと
頭を下げてきたので結んでやった」とレクチャーし、ほとんどのメディアがそのまま報じたからだ。
最大手紙、朝鮮日報の宋熙永・論説主幹は自身のコラム(10月22日付)で
「これで通貨危機に陥る可能性は20%以下に減った」と率直にスワップの効果を評価した。
しかし、こうした冷静な記事は少数だった。
ちなみに世界の市場関係者の見方は「米韓首脳会談で李明博大統領が
オバマ大統領にスワップを頼んだものの断られ、急きょ1週間後の日韓首脳会談で日本からスワップの約束を取り付けた」である。
日本がスワップを打ち切らない理由として、韓国各紙は「日本の得にもなっている」こともあげている。
「当時、円高に悩んだ日本が何とか円安に持っていこうと、韓国に積極的にスワップを求めた」(朝鮮日報8月17日付)。
もし、韓国がスワップを行使し円を借りて対外支払いに充てる際にはドルに替えるので、
円安・ドル高要因になる、という理屈だ。
日本でも、外務省など経済に明るくない組織に「スワップによりウォンの急落に歯止めがかかった。
円高に悩む日本の利益になった」と胸を張る人が多い。
確かに2011年10月初めに1ドル=1200ウォンまで急落したウォンは、
ワップ後に同1150ウォン前後に戻り、今もその付近で動いている。
しかし、2011年の通貨危機直前の9月には同=1060ウォン台で、現在と比べ10%前後もウォン高だった。
ウォンは「米ドルに対し弱含んでいる、アジアでは珍しい通貨」だ。
韓国政府がウォン安方向に誘導し過ぎると、オーバーシュートして急落につながる可能性があった。
それが、スワップにより外貨繰りに不安がなくなったため、思うままにウォン安を維持できている―。
最近1年間のウォン相場をこう分析する市場関係者もいる。
8人で戦う羽目に陥ったサッカーのチームはディフェンスラインを後ろに下げざるを得ない。
もし、3人の応援を得れば前に出せるのと似ている。「韓国とのスワップは日本の得になる」とは言い切れないのだ。
韓国における「日本のスワップ不要論」の最大の根拠は「韓国には莫大な外貨準備があるから」だ。
17日付の韓国各紙の主張はほぼ同じだった。
「我が国は7月末現在、世界第7位の3143億ドルの外貨準備を誇る。
これに加え、中国との間に560億ドル相当のスワップ枠がある。CMIからも384億ドル引き出す権利を持つ。
日本とのスワップ以外に事実上、4087億ドルの外貨準備がある。
だから日本からの570億ドルの枠がなくなってもたいしたことはない」(朝鮮日報)。
もっとも市場はそうは見ていない。だからこそ“韓国売り”がしょっちゅう起こるのだ。
外貨準備の3100億ドルは経済規模に比べ多いかもしれない。しかし、韓国の場合、
外から大量にホットマネーが入り込んでおり、危機の際にはそれが一斉に逃げ出す。
他国以上に多くの外貨準備が必要で、ホットマネーの量を考えた場合、必ずしも十分とはいえない。