12/06/01 20:39:26.71
(>>2の続き)
ここではその解釈には踏み込まない。なぜなら、仮にこの「外国人」すべてを「在日」と置き換えることが可能であったとしても、そこには
二つの解釈ができるからである。
一つは「在日が在日権益のゴリ押しで生活保護を受給しているのではないか」「日本人より基準が甘いのではないか」という見方
(あくまでも解釈であって事実かどうかは別問題)。
もう一つは、「在日外国人は日本国籍を有する人より困窮している」「いわゆる在日と呼ばれる特別永住者は高齢化が進行して
おり、それに伴って生活保護を必要とする困窮の度が増している」という見方。
ここでは統計を示すのみにとどめ、解釈を選ぶことはあえてしない。ただ、この統計の結果が一つの「結論」を示すと言い切るなら、
それは暴論ということである。また、この計算結果はそれぞれの母集団内での比率の比較なのであるから、「主に在日が生活保護を
受給している」という結論には当然ならないのは念を押すまでもないだろう。
■「北朝鮮のテロ政治は日本人の税金を原資とした生活保護によってまかなわれている」?
「資金の一部が北朝鮮に送金されている可能性があることです。可能性、といっていますがほぼ事実でしょ」というのだが、確かに
「一部」はそういうこともあるだろう。
しかし、生活保護総額の3%が「日本国籍をもたない人」たちが受給していて、それが100%「在日」だとしても、そのうちの朝鮮籍の
人はどれだけなのか。法務省統計では「韓国・朝鮮」と一括して統計されており、国の統計では特別永住者の韓国籍:朝鮮籍
(:台湾)の比率はわからない。
2010年の政府統計「国籍(出身地)別在留資格(在留目的)別外国人登録者 」によれば、特別永住者39万9106人のうち、
いわゆる「在日」と呼ばれる韓国・朝鮮人が39万5234人。一方、ウィキペディアの「在日韓国・朝鮮人 - Wikipedia」ページによれば、
その中で「韓国に本籍地があっても朝鮮籍のままの者もいるため、北朝鮮地域を本籍地にしている者は2010年末時点で2,589人に
過ぎないが、朝鮮籍保持者は3-4万人程度いるとみられている」と書かれている(北朝鮮とは国交がないので、韓国籍がいやなら
「朝鮮籍」となる)。この「朝鮮籍保持者」は韓国籍を選ばなかったということで北朝鮮政府に親和性のある人たちだとすれば、
39万5234人の「在日」の中に「北朝鮮系」の人は多く見積もっても1割しかいないということになる。
URLリンク(ja.wikipedia.org)
40万人中4万人である。1割である。
したがって「在日権益」をそのまま「北朝鮮」に結びつけるのはあまりにも飛躍がすぎるということだ。一部は本当に「一部」の可能性
が高い。もちろんゼロではあるまい。だが、ゼロではないからといって、「生活保護を受けているのは主に在日で、だからその資金は
北朝鮮に流れている」と主張するとすれば、その主張には統計から見ても二重の飛躍があるわけだ。
仮に生活保護を受給している3%の外国人がすべて在日であり、朝鮮籍の人はその全額を北朝鮮に送っているという最大限の
数字を採用したとしても、生活保護を受給している中の朝鮮籍の人の割合は全体の0.3%である。これをもって「資金を得ているのは
主に在日」「北朝鮮のテロ政治を日本人の税金で支える日々」というのはあまりにも誇大であり、もはや妄想の域に達しているといえる。
なお、わたしは今のところ、CIAなりFBIが「生活保護で受給した金の流れを調査している」という情報のソースを確認し得ていない。
CIAとかFBIは、革マル派などの妄想型陰謀論でよく登場する機関でもある。もし、「資金の流れを追っている」というのが単に
「北朝鮮が集めている資金」すべてのことを指すのであれば、ここでそのことを持ち出すのは単なる誤誘導でしかない。
ましてや、河本氏の家族のことをここに絡めるのであれば、氏の家族・親族が「特別永住者」であるということについて、「憶測」や
「決めつけ」ではなく「揺るぎない事実の証明」が必要だ。
(さらに続きます)