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問題の本質はお笑い芸人叩きではない
お笑いコンビ『次長課長』の河本準一さん(37)が、母親の生活保護受給問題
で謝罪会見をおこなったのが2012年5月25日。そして、同29日には『キングコ
ング』の梶原雄太さん(31)も、母親が生活保護を受給していることを自ら明
らかにした(サンケイスポーツ、2012年5月29日付)。
お笑い芸人の母親が、本来はもらう必要がないと思われる生活保護費を、役所
から受けとっていた。息子がたまたまお笑い芸人だったから、世間で騒がれて
いるものの、この問題の本質は、お笑い芸人を叩くことでは見えてこない。あ
くまでも、生活保護費を不正に受給する輩と、不正を見抜けずに支給する役所
が問題なのである。
不正に受給する輩については、5月29日付の東京スポーツでビートたけしさん
が「解説」している。「生活保護費をもらう人間の中にはいろんな手段を使う
のがいる」とした上で、「偽装結婚」や「離婚して戸籍上は母子家庭にしとい
て、父親は一緒に住んでるけど、調べが入る時だけ出ていく」ケースを紹介。
そして、「暴力団も生活保護費もらってるのがいる」点に触れ、「片山さつき
とか世耕弘成とか、河本を追及して喜んでるけど、暴力団とかおっかないヤツ
に対しては何もしない。『こんな人がベンツ乗り回しておかしいじゃないか』
とか、もっと怖い人をヤリ玉に挙げればいい」と述べる。
たけしさんは、「病気とか体が悪くて働けないのは別として、働かないヤツが
生活保護費もらうのはおかしい」と考えている。さらに、「昔は生活保護受け
るってことが、すごく恥ずかしいことだった」が、「最近は『もらわなきゃ損』
みたいな考え方になっちゃってる」ことを憂う。
慢性的に不足する役所のマンパワー
他方、役所が不正を見抜けないことは大きな問題だが、見抜けない事情の一端
を私たちは知っておくべきであろう。筆者の知人で、東京・某区の役所で生活
保護を担当していた人がいる。その人によると、連日訪れる申請者の面談から
受給者の生活態度の確認まで、少ない人数の職員でこなしているという。
不正かどうかを厳密に判断すればするほど、個々の審査に時間を費やすが、そ
うすると緊急に必要な申請者の審査が後回しになってしまうことがある。かと
いって、短時間で形式的な審査をやっていれば、不正に受給する輩の生活を保
護することになる。職員のマンパワーは慢性的に不足している中、生活保護世
帯数は1992年から右肩上がりで増加し続けている。
第1に、生活保護を本当に必要とする世帯は増えており、そういう世帯には支
給すべきである。第2に、不正受給をもくろむ輩も増えており、厳正なる審査
が必要になっている。第3に、審査を厳正におこない、必要とする世帯へ適正
に生活保護費を支給するためには、役所の職員を増員する必要がある。
第3のアクションをおこなうには、一時的に税金の投入が必要になる。なぜ一
時的なのか。不正受給のチェックが進んでいけば、生活保護費の支払額が減少
するからである。ようは、本当に必要とする世帯に生活保護費が支給され、不
正に受給する輩を減らしていくために、生活保護に関連する役所の職員を、税
金を投入して一時的に増やしてもいいのかどうか。
この点を議論せずに、お笑い芸人を叩いて溜飲を下げるだけでは、何も解決し
ない。そう思うのは筆者だけであろうか。
(谷川 茂)
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