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仙台市近郊の桜木花園幼稚園の昼食時。5歳児が元気に廊下を駆け回るが、鎌田順子園長は昼食が完全に安全かどうか、
確信が持てないでいる。東京電力福島第1原子力発電所事故後の放射能の影響を独立機関として世界的に初めて評価する
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書が出るのは1年2カ月以上先だからだ。
昨年3月11日の東日本大震災で起きた福島第1原発事故後、園児198人が通う桜木花園幼稚園の保護者は、幼稚園の
給食が放射能に汚染されていない確証を求めている。
◆情報多く信頼できず
鎌田さんは放射能に関する情報はあまりにも多過ぎて何を信じていいのか分からないと言いながら、政府と独立系機関から
出された2つの報告書を見せる。「どちらを信じたらよいのか。言っていることが違っている報告書が多過ぎる」と当惑している。
UNSCEARのボルフガンク・ワイス委員長はウィーンで電話取材に応じ、放射線の影響に関するUNSCEARが2013年5月
に発表する予定の報告書について、放出された放射性物質の総量を試算し、その後、子供の健康にどのように影響するかの
調査報告を出す方針と述べた。
ワイス氏は「大きな事故で人々が不安を感じ、疑心暗鬼になっていることは分かる。この膨大な作業はデータを読み込み分析
するものだ」と述べた。
政府の推定する放射性物質の放出総量は海外機関が出したものより最大で77%少ない。日本の試算は事故後、すでに
2度にわたって修正されている。
独立行政法人放射線医学総合研究所(放医研)規制科学調査プログラムの米原英典部長は、UNSCEARの報告について
「日本政府だけではなく、他の国際的なコンセンサスのある情報源に基づくものであるため、重要だ」と述べた。放医研もUNSCEAR
に情報を提供している。
ワイス氏によると、1986年のチェルノブイリ原発事故調査経験者を含む18カ国の業界関係者、科学者ら約60人が昨年10月
から調査を開始した。
◆一般公表は来年10月
この調査が一般に公表されるのは、UNSCEARの承認を得た後の13年10月になる予定。UNSCEARはチェルノブイリ原発
事故の報告書も出している。ワイス氏は福島第1原発事故について、チェルノブイリに比べ被害区域は10分の1で、避難区域外
には危険なウランやストロンチウムの大量放出が避けられたことから、国際基準での評価が最悪の「レベル7」になったことは「誤解を
招きやすい」と指摘した。
(中略)
日本原子力研究開発機構・安全研究センターの本間俊充センター長は、放出線量の見込みで食い違いが出ることについて、
原子炉内の温度データがないなど不確かなことが多いためと語った。本間氏は、正確な総放出量を算出するためには原子炉内の
状態をチェックする必要があるため、全てのデータを集めても正確な数字は出ないかもしれないと述べた。
本間氏によると、特に難しいのは福島第1が面している海洋に流出した放射線量の試算。東電は4月1~6日までの5日間で
940テラベクレルのセシウム137を含む汚染水が流出したとしている。東電は大気に放出された総量の試算をまだ出していない。
福島第1原発の作業員の最高被曝(ひばく)線量は680ミリシーベルトで、発がんリスクが高まり始める数値の約7倍。ワイス氏
によると、地元の住民の被曝線量は「20~25ミリシーベルトを下回っており、ほとんどがもっと低く5ミリシーベルトを下回る」との
見込みを示した。「これが正しければ、地元住民に目立った発がんリスクの上昇はないだろう」と述べた。
桜木花園幼稚園では大震災時の津波で被害にあった教室は補修された。鎌田さんは「幼稚園はきれいになったが、すぐには
再開できなかった。いろいろな面でよくはなっているが、やはり一番気になるのは放射能と食品だ」と話した。
ソース(SankeiBiz、ブルームバーグ)
URLリンク(www.sankeibiz.jp)