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(>>1の続き)
■ウィンブルドン化する大久保
「ウィンブルドン現象」という言葉が頭を過った。英国人が誇りとするテニスのウィンブルドン選手権で英国人選手が優勝できなく
なった現象になぞらえ、英国産業を外資系企業が席巻したことを表現した。
大久保で店を閉めた日本人の商店主はビルオーナーになって韓国人に店舗を貸し、潤っている。外資系金融機関を受け入れ、
シティーが活性化したのと同じ構図だ。英国はかつて世界の工場だったが、国際競争力を失い、サッチャー政権の時に開放政策に
転換、蘇った。
奇しくも2011年、日本の貿易収支は実に31年ぶりに赤字に転じた。日本もこれから積極的に外資を受け入れるウィンブルドン化
に舵を切ることになるのだろうか。
大久保で商店街を取材していると、よく「韓流ブームはいつまで続くと思うか」と尋ねられる。「街が騒々しくなった」と苦情を言う人
がいる一方、ブーム終焉を危惧する人も少なくない。大久保の日本人と韓国人はある意味で運命共同体といえる。
その韓流ブームだが、決して自然発生的に起こったものではない。韓国が官民挙げて映像・音楽ソフトの輸出に取り組んだ成果
である。
韓流ブームは今や中国、東南アジアから欧州にまで広がる。韓国は自由貿易協定(FTA)にも積極的。日本に比べ国内市場が
小さいだけに海外に賭ける戦略が徹底している。1997年にアジア通貨危機で国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれたことが
同国の危機感を高めたのだ。
■「国家の自殺」を防ぐには移民も選択肢
日本政府も「クールジャパン」を掲げ、文化ソフトの輸出支援に乗り出したが、後れは否めない。しかも国と地方を合わせて
1000兆円を超える借金を抱えながら、消費増税で政争を繰り返す能天気ぶり。戦略性と危機感は今の日本に最も欠けている
ものだ。
戦略と言えば、日本が今後もっとも本腰を入れて取り組まなくてはいけない分野は人口減少への対応だ。人口は今後の日本の
成長や社会保障の維持に大きな影響を及ぼし、まさに国家の命運を決める。
国立社会保障・人口問題研究所が1月末発表した将来推計人口によると、2060年の日本の人口は8674万人と2010年比で
4132万人も減少、生産年齢人口(15-64歳)は4418万人とほぼ半減する。
フランスの思想家、ジャック・アタリ氏は3年前に来日した際、「急激な人口減少で日本は国家の自殺に向かっている。活力を維持
するためには移民の受け入れが必要」と警告した。少子化に有効な対策が打てないなら、移民の本格的な受け入れを考えることも
有力な選択肢だ。
(さらに続きます)