12/02/27 08:41:56.65
ソース(日経ビジネスオンライン) URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
東京・大久保は今、日本で最も活気のある街の1つだろう。2010年春、新聞の企画連載のため、大久保に1カ月間住み込み
取材をした。ハングルの看板、鼻をつくスパイスの香り、スカーフで髪を隠して歩く女性―。初めて大久保で暮らした私は国際色
豊かな街の賑わいにひき付けられた。
だが、久しぶりに足を運び、その変貌ぶりに驚いた。韓国の店が一気に増え、コリアンタウン化が急速に進んでいたのだ。新陳代謝
を繰り返すこの街のエネルギーが伝えるものは何か、乏しい頭を巡らしてみた。
■2年でコリアンタウン化が急加速
JR新大久保駅を降りて大久保通りを東に進むと、見知らぬ店が次々に視界に入る。チョンガーネ(食材)、にっこりマッコリ(居酒屋)、
韓流GRANDPARK(韓流グッズ)...。昨年12月新装オープンしたばかりのテナントがすべて韓国系という大型ビル3棟が誇らしげに立つ。
2年前、新宿歌舞伎町に近い職安通りは大半が韓国の店だったが、大久保通りは日本のほか、中国、東南アジア系の店もあり、
韓国一色ではなかった。今、韓流の波は表通りを超えて住宅街にも押し寄せる。
大久保通りと職安通りをつなぐ細い路地にも韓国系の店が続々と出店、食事時は若い女性客で溢れ返り、通り抜けも困難な
ほど。土日には大型バスが全国から観光客を連れてくる。約300といわれた韓国系店舗の数は現在、500を超えると見られている。
なぜ、コリアンタウン化が一気に進んだのか。韓流ブームの風が吹いているからだが、それだけではない。街の活気に隠れて表に
出ないが、日本の店の多くが売り上げ不振に喘いでいるのだ。大久保通りの商店街では最近、家具、紳士服、文房具などの
日本人経営の店が相次いで閉店した。
「日本人が店仕舞いをすると、出店を希望するのは韓国人ばかり。韓国人同士の競争で賃貸料が釣り上がるバブル現象が
起きている」と話すのは街の事情に詳しい李承ミン・新大久保語学院院長だ。韓国系の店が増えるのは、商売をやめ韓国人に
店舗を貸す日本人が増えているからにほかならない。
JR東日本が1月に発表した年末年始9日間の近距離切符の販売枚数はJR新大久保駅が前年比20%増。伸び率で新宿、
有楽町、上野、舞浜などの有力駅を大幅に上回った。街は賑わっているのに、日本の店は客を吸収できないでいるのだ。
化粧品店を経営する新大久保商店街振興組合の森田忠幸前理事長は「日本の商店は地域住民に生活必需品を売る店が
ほとんど。観光客が相手ではないので、人が増えても売り上げは伸びない」と語る。
東京の商店街の多くは全国チェーンの店ばかりが目立つが、大久保はそれが韓流に代わっただけ。韓国の店がないと仮定すれば、
シャッター商店街になっていたかもしれない。
新大久保商店街の日本人店主は50代、60代が中心。子どもが親の商売をやる気がなく、後継ぎがいない商店も多い。
不況やインターネット通販の普及による販売不振、後継者難など全国共通の課題を抱えている。
■敗者復活戦で来日の韓国人パワー
一方、韓国人の経営者は40代が多い。同国で海外渡航が自由化された1989年以降、留学生として来日、大学などを卒業
した後、起業した人がほとんどだ。
(中略)
若い外国人移民と日本人高齢者という構図は、3年前に取材した愛知県豊田市の保見団地と同じだ。ここは人口の約半分が
自動車関連の下請けに派遣された日系ブラジル人とその家族。彼らも残業を厭わず必死に働いていた。当時、この団地に人口
減少社会を迎えた日本の未来の姿を予感したが、オオクボ現象もこの国の明日を暗示しているのかもしれない。
(>>2以降に続く)