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多能造血前駆細胞を無限に増幅させる方法を開発 | 理化学研究所
URLリンク(www.riken.jp)
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図1 Id3導入による多能造血前駆細胞の増幅
(A)マウスの造血幹細胞群にコントロールの(遺伝子は入っていない)レトロウイルスベクターを導入すると通常B細胞に分化が誘導されるが、Id3を導入するとB細胞への分化が阻害され、
多能造血前駆細胞が増幅する。(B)培養日数ごとの全細胞の増幅率。コントロール群ではほぼ1ヶ月で細胞数が頭打ちになるのに対してId3を導入した細胞は増え続ける。
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図2 Id3を導入した細胞の個々の細胞における自己複製能と多分化能
(A)Id3を導入した造血幹細胞群を1ヶ月間培養したあと、1個1個の細胞を培養皿に撒いて培養した。増えてきた細胞を免疫不全マウスに注射し、4週間後に末梢血を解析した。
(B)Id3クローン由来の細胞から生成された免疫細胞。
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図3 Id3導入によるヒト多能造血前駆細胞の増幅
マウスと同様にヒト臍帯血の造血幹細胞群にコントロール(水色)のレトロウイルスベクターを導入するとB細胞に分化が誘導されるが、Id3遺伝子を導入するとB細胞の分化が阻害され、
多能造血前駆細胞が増幅する。
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図4 自己複製能と多分化能を兼ね備えたiLS細胞(人工白血球幹細胞)
Id3を導入した造血前駆細胞は主にリンパ球や顆粒球などの白血球を作り続けるため、induced Leukocyte Stem (iLS)細胞と名づけた。
要旨
理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センター 融合領域リーダー育成(YCI[1])プログラムの伊川友活上級研究員、京都大学再生医科学研究所 再生免疫学教室の河本宏教授らの
共同研究チーム※は、多能造血前駆細胞[2]を生体外で増幅させる新しい培養方法を開発することに成功しました。
血液のもととなる造血幹細胞[2]は成体では骨髄に存在し、赤血球や血小板、白血球[3](免疫細胞)などの血液細胞を作ります。これまで、生体外で造血幹細胞を増幅させる方法が盛んに
研究されていますが、実用的な方法は確立されていませんでした。2004年、伊川上級研究員らは転写因子E2A[4]を欠損させたマウスを使った実験により、E2Aを欠損するとB細胞の分化が
初期段階で停止し、B前駆細胞が多能性をもつ造血前駆細胞(多能造血前駆細胞)としての特徴を示すことを報告しました。この知見からE2Aの機能を阻害することにより、
多能造血前駆細胞の人為的な増幅が可能であると考えました。
共同研究チームはE2Aの働きを一時的に阻害するために、E2Aの阻害タンパクであるIdタンパク[5]を用いました。Idタンパクの1つであるId3をレトロウイルスベクター[6]を用いてマウスの
造血幹細胞群へ導入しました。続いて、B細胞への分化を誘導する条件下でこれらの細胞を培養すると、前駆細胞段階で分化が停止し、多能造血前駆細胞が増幅(自己複製)することが
明らかとなりました。この細胞は約1ヶ月で1万倍にまで増殖し、培養を続ける限り増え続けました。また、この前駆細胞をマウスに移植するとリンパ球や顆粒球など様々な白血球を作りました。
さらに、同様の方法を用いてヒトの臍帯(さいたい)血[7]の多能造血前駆細胞を増幅することにも成功しました。共同研究チームはこの細胞を、主に白血球を作り出す幹細胞という意味で
iLS(人工白血球幹)細胞と名づけました。iLS細胞は赤血球や血小板はあまり作らず、生体内では自己複製しないので、造血幹細胞とは異なります。しかし、体外で無限に増やせる特性を
利用すれば、がんに対する免疫細胞療法への応用などが期待できます。
本研究は、米国の科学雑誌『Stem Cell Reports』オンライン版(10月22日付け:日本時間10月23日)に掲載されます。
(以下略)