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いわゆる「生まれか、育ちか」論争で取り上げられることの多い「音楽的な才能」。まったく同じ環境で暮らしている2人のうち、一人はピアノの名人に、
もう一人は音楽的才能が皆無などということが起こり得るのはなぜか。
この答えは遺伝子にあるのか、それとも育て方にあるのか─。
数百人を対象に比較調査した結果、この疑問への答えに到達するための第一歩は「DNA」、
すなわち音を聞き取る能力に関係するいくつかの遺伝子にあるとする研究論文が11日、
英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン医学誌「モレキュラー・サイキアトリー(Molecular Psychiatry)」に掲載された。
研究チームは、7歳~94歳までの76家族767人から血液サンプルを採取し、その血液サンプルから抽出した遺伝情報を解析して被験者間で比較分析を行い、
被験者のDNAに存在する変異を調べた。血液サンプルには、プロの演奏家を多く輩出している音楽性の強い家系のものも含まれた。
被験者はまた、音楽に関する3種類のテストを受けた。テストでは、音調と長さがわずかに異なる音の区別や「連続した音」の微妙なバリエーションの識別などが問われた。
このテストで好成績を収めた人たちの中で大きく際立っていた点は、第4染色体にあるいくつかの遺伝子に些細だが有意な相違があることだった。 この発見は、人がどのように音を聞いて認識するかを決定付ける一助となる。
■「一次的」要素と「二次的」要素
一つの変異は、内耳の有毛細胞にとって重要な「GATA2」と呼ばれる遺伝子上にあった。
有毛細胞にある繊毛は、異なる振動数に応じて動き、聴覚神経を通して脳に信号を送る。
証拠を示すもう一つの変異は、「へんとう体」と呼ばれる脳の部位で重要な役割を果たす「PCDH7」と呼ばれる遺伝子。
へんとう体は、音をパターンに変換する仕組みをつかさどっていると考えられている。
これらは、遺伝子が運ぶと思われるさらに多くの情報のほんの一部にすぎないが、いずれにしてもDNAで部分的ながらも音楽能力を説明できると論文の執筆者らは述べている。
広く知られている説によると、音楽的才能には、音調と音階を識別する身体的能力という「一次的」要素があり、
これは、個人の文化や環境に左右される演奏技能という「二次的」要素への必須条件だという。
論文は「音楽的才能は複雑な行動特性」としており、今回の実験はその「一部のみを説明する」ものだと強調している。
今回の論文では、音楽の創造性、すなわち作曲能力に関する考察は行われていない。
2014年03月12日 10:14 AFP
URLリンク(www.afpbb.com)
Molecular Psychiatry
A genome-wide linkage and association study of musical aptitude identifies loci containing genes related to inner ear development and neurocognitive functions
URLリンク(www.nature.com)