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統合失調症に似た特徴を持つ遺伝子改変マウスを確立
-モデルマウスを使って患者の新しい予防・診断・治療法へ道-
ポイント
▼統合失調症は総人口の約1%で発症し、遺伝要因と環境要因の両方が発症に関与。
▼ ヒトの統合失調症に似たモデルマウスを作成。炎症を抑えることで症状の一部が改善。
▼統合失調症の新しい予防・診断・治療法の開発と創薬に期待。
JST 課題達成型基礎研究の一環として、藤田保健衛生大学 総合医科学研究所の宮川 剛 教授、自然科学研究機構
生理学研究所の高雄 啓三 特任准教授らは、遺伝子操作により脳内で軽度の慢性炎症を起こさせたマウスは、脳の一部が
未成熟な状態になっており、その結果、作業記憶注1)の低下や巣作り行動の障害が引き起こされていることを明らかにしました。
本研究グループは、行動異常を網羅的に調べる「網羅的行動テストバッテリー注2)」を用い、約10年にわたり精神疾患の
モデルマウスの探索を行っています。これまでに160系統以上を解析した結果、Schnurri-2注3)遺伝子欠損(Shn-2 KO)マウスが
作業記憶と呼ばれるタイプの記憶や、社会的行動の異常など、統合失調症注4)患者で見られる症状(主として認知障害や陰性症状)と
そっくりな行動異常を示していることを突き止めました。このマウスの脳を解析したところ、遺伝子発現パターンが統合失調症患者の
死後脳と酷似していたほか、パルバルブミン注5)陽性細胞数の減少や脳波の異常など統合失調症患者の脳で報告されている
特徴の多くを持っていました。さらに、Shn-2 KOマウスの脳で慢性的で軽度な炎症が起こっていること、脳の一部(海馬歯状回)が
未成熟な状態にあることを発見しました。炎症を抑えることにより、このマウスの海馬歯状回の成熟状態が改善し、さらに行動異常のうち
作業記憶の障害と巣作り行動の障害が改善されることが明らかになりました。
このマウスの脳は統合失調症患者の脳と特徴が極めてよく似ており、このマウスをモデルとして活用することで、
統合失調症の病因・病態の理解が飛躍的に進むと考えられます。
今後、抗炎症作用を持つ物質と既存の抗精神病薬とを組み合わせた投与の効果をこの統合失調症モデルマウスで検討し、
効果が見られた方法で実際の患者の症状が改善するかどうかを調べることにより、統合失調症の新たな治療法の開発が進むと
期待されます。
本研究成果は、日本医科大学、理化学研究所など12機関の共同研究により得られ、2013年2月6日(米国東部時間)に
米国神経精神薬理学会誌「Neuropsychopharmacology」のオンライン版で公開されます。
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▽記事引用元 生理学研究所 プレスリリース
URLリンク(www.nips.ac.jp)