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沖田圭介講師(CiRA初期化機構研究部門)と山中伸弥教授(CiRA所長)らの研究グループは、ヒト末梢血や臍帯血の細胞にプラスミドベクターを
用いて遺伝子を導入することで、効率よくiPS細胞注を作製する方法を開発しました。
樹立したiPS細胞は分化多能性を持ち、ES細胞注と同等の遺伝子発現を示し、ゲノムDNAへ外来遺伝子の挿入が認められないiPS細胞を得ることができました。
本論文は米国科学雑誌『Stem Cells』のオンライン版に11月29日掲載されました。
ヒトiPS細胞は、再生医療の移植細胞のソースとして、あるいは病態再現による創薬研究のツールとして期待されています。
これまで、主に皮膚より採取した線維芽細胞がiPS細胞の作製に用いられています。
一方で、より侵襲性の低い血液細胞を用いたiPS細胞の樹立方法の確立も求められてきました。
これまでも、血液細胞からiPS細胞を作製する方法について幾つか報告がありますが、再現性が低い、あるいはウイルスを用いているためゲノムDNAに外来遺伝子を挿入するなど、問題点がありました。
この改良により、20代から60代の健常人より採取した末梢血のT細胞やCD34陽性細胞注、および臍帯血のCD34陽性細胞から効率良くiPS細胞を樹立することに成功しました。
本研究の成果は、今後のヒトiPS細胞の樹立を容易にし、疾患モデル解析や臨床応用へ向けたiPS細胞樹立などの研究を促進することが期待されます。
一方で、血液細胞から作製したiPS細胞が、線維芽細胞から作製したiPS細胞やES細胞と本質的に同等であるのかなど、詳細な解析を進める必要があります。
この研究は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)、産業技術総合研究所との連携のもとで実施されました。
京都大学iPS細胞研究所
URLリンク(www.cira.kyoto-u.ac.jp)
Stem Cells
「An Efficient Non-viral Method to Generate Integration-Free Human iPS Cells from Cord Blood and Peripheral Blood Cells」
URLリンク(onlinelibrary.wiley.com)