12/12/22 01:02:28.06
最新の研究によって、8400万年前の川で暮らしていたワニのような捕食者の存在が確認された。
ハンガリーで最近、体の一部が発掘されたこの化石の生物は、モササウルスと呼ばれる古代の水生爬虫類の
仲間に属する。モササウルスはワニとクジラを掛け合わせたような外見をしている。
今回の新種はパンノニアサウルス(Pannoniasaurus)と名付けられた。モササウルスの仲間で、生涯を通じて
淡水域で暮らしたと考えられる種が見つかったのは初めて。
「ここで示された物証から明らかなのは、(クジラ)の子孫の一部と同様に、モササウルスも異なる水生環境に
短期間で適応したということだ」と、今回の研究を率いたハンガリー自然史博物館の古生物学者ラースロー・
マカーディ(Laszlo Makadi)氏は声明の中で述べている。
◆若い個体の化石は珍しい
今回の化石は、ハンガリー西部の炭鉱の廃棄物集積所で発見された。化石は同じ場所で大量に見つかっており、
体長約1~4メートルまでの複数のパンノニアサウルスの個体のものと見られる。
小型の化石は若い個体のものと見られ、珍しい発見だと専門家らは言う。
カナダのアルバータ大学のマイケル・コールドウェル(Michael Caldwell)氏は、「見つかるのはたいてい
成体だ。若い個体や子供が見つかるのは珍しい」と説明する。コールドウェル氏はモササウルスの専門家で、
今回の論文の共著者の1人だ。
このように1カ所で複数のパンノニアサウルスの個体が見つかったことは、この種が間違いなく淡水性だった
ことを窺わせる。一部のサメなどのように、モササウルスでも、海洋性の種がときおり川に侵入してくることが
あったかもしれないが、パンノニアサウルスに関してはそのようなケースではなく、本当に一生を淡水域で
送っていたようだ。
「何よりうれしいのは、(パンノニアサウルスが)暮らしていた場所が明らかになったことだ。しかもライフ
サイクルの全段階を通じてそこに暮らしていたのだから」とコールドウェル氏は言う。
◆川の生態系のトップに君臨
パンノニアサウルスの生きていた白亜紀後期には、今回の化石の見つかった地域は熱帯に属しており、列島の
一部であった。周囲を淡水の“海路”に囲まれており、これは現在のアフリカ大陸とヨーロッパ大陸南部を
隔てていた。パンノニアサウルスはこれらの島々から“海路”へと流れ込む淡水の川に暮らしていた。
これらの川には魚類、両生類、カメやトカゲやワニの仲間、恐竜などが暮らしており、その化石もすべて、
今回の発掘現場から見つかっている。パンノニアサウルスは体が大きかったので「おそらく川の生態系の
頂点に立つ捕食者だったろう」とコールドウェル氏は言う。
ただし、その歯が小さく鋭いことから、パンノニアサウルスは主に魚を食べ、まれに両生類やトカゲに手を
出す程度だったと考えられる。「獰猛な捕食者だったかどうかは疑わしい。おそらく魚を捕らえて満足して
いただろう」とコールドウェル氏は言う。
(本文>>2以降に続く)
▽画像 古代の川を悠々と泳ぎ回るモササウルスの仲間(想像図)。
Illustration courtesy Tibor Pecsics
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
▽記事引用元 ナショナルジオグラフィックニュース(December 20, 2012)
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
▽PLOS ONE
「The First Freshwater Mosasauroid (Upper Cretaceous, Hungary) and a New Clade of Basal Mosasauroids」
URLリンク(www.plosone.org)