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京都大大学院の斎藤通紀(みちのり)教授らの研究グループが、
人工多能性幹細胞(iPS細胞)から精子に続いて卵子を作製し、子供を誕生させることに成功した。
今後、生殖細胞(精子と卵子)の発生メカニズムや不妊治療の研究などへの応用が期待される半面、
人工的に作ったヒトの精子や卵子で受精卵が作れるようになる可能性も芽生え、
倫理面で新たな議論も巻き起こりそうだ。
「不妊に悩む女性の6~7%は卵子を作れず、現在の医療では別の女性から卵子の提供を受けない限り、
妊娠は不可能だ。今回の研究は、そうした患者にとって光となり得る」。今回の研究成果について、
森崇英(たかひで)京都大名誉教授(生殖医学)が評価した。
iPS細胞は、皮膚からでも作製できるのが特徴。成果をヒトに応用できれば、
さまざまな細胞から卵子を作る道が開ける。さらに、卵子ができるメカニズムの解明につながれば、
先天性疾患の原因究明にも可能性が広がる。
ただ、実現にはまず技術的なハードルがある。実験動物としてさまざまな個体を人工的に作れる
マウスほど、ヒトの細胞を扱う技術は進歩していないからだ。
今回、研究グループは、iPS細胞から作った始原生殖細胞を、胎児の体細胞と混合させ、
培養した後でいったんマウスの体に戻し、卵子を作ってから再び取り出す手法をとった。
野瀬俊明・慶応大特任教授(生殖発生学)は
「生体の力を借りた部分をどう体外で再現するかが、次のステップになる」と指摘する。
iPS細胞はがん化のリスクが伴うため、世代を超えた安全性の検証も必要だ。
国立成育医療研究センターの阿久津英憲(ひでのり)幹細胞・生殖学研究室長は
「成長した個体とその子供で安全性の確認が重要だ」と話す。
倫理面での検討も欠かせない。国は平成22年5月、マウスなどによる研究の進展を踏まえて、
ヒトのiPS細胞を使った精子や卵子の研究に関する指針を改定。
作製することは認めたが、受精は「時期尚早」として、解禁を見送った。
一方で、精子や卵子が実際に機能するかどうかを確かめるには、受精させるのが
最も確実な方法だという意見は、研究者の間で根強いとされる。
(>>2以降に続きます)
ソース:産経新聞(2012.10.5 09:02)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
画像:研究成果を発表する京大の斎藤通紀教授(左)と林克彦准教授
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
参考リンク:京都大学のプレスリリース
URLリンク(www.kyoto-u.ac.jp)
参考リンク:Science expressに掲載された論文要旨
「Offspring from Oocytes Derived from in Vitro Primordial Germ Cell?Like Cells in Mice」(英文)
URLリンク(www.sciencemag.org)