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そこで、原料粉末表面を活性化(清浄)できる手法を検討した結果から、プラズマ焼結法に着目しました。プラズマ
焼結法は、原料粉末にパルス電流を与え、原料粉末の表面間に放電を発生させて表面を活性化して焼結する手法
です(図3左参照)。そこで、BA活動の一環として青森県六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターの原型炉
R&D棟において、ベリライド合成試験を開始し、原料性状、温度、圧力、時間などの合成条件を最適化することに
より、合成と接合が同時にできる技術を確立し、Beのように酸化しやすい材料の表面酸化層など影響を受けずに、
成型及び加工性に優れて脆くない棒状のベリライドを効率よく合成することに成功しました(図3右参照)。
URLリンク(www.jaea.go.jp)
図3 プラズマ焼結法によるベリライド合成及びベリライド電極棒製造
次に、このプラズマ焼結製のベリライドを回転電極法の電極棒として用いて微小球製造試験を行いました。ベリライド
造粒条件として、電極棒形状、電極棒の予備加熱条件、放電条件、回転数などを最適化することによって、ベリ
ライド微小球を製造することに成功しました(図4参照)。
URLリンク(www.jaea.go.jp)
図4 プラズマ焼結製ベリライド電極棒を用いた回転電極法によるベリライド微小球製造
[研究成果の意義及び波及効果]
今回の成果では、今まで合成すら困難であったベリライドを、脆くなく加工性に優れた棒状のベリライドとして効率よく
製造することに成功しました。そして、この棒状のベリライドを回転電極法による造粒時の電極棒として使用することに
よって、核融合炉で使用する目標形状である直径1mmのベリライド微小球を世界で初めて製造することに成功し、
大量製造技術を確立しました。
この成果は、イーターでの燃料生産試験をより確実にするとともに、核融合原型炉に向けた燃料生産技術の確立に
大きく貢献するものです。また、本合成法は、軽量耐熱耐摩耗材の機械部品のアルミニウム系合金の合成(例えば
車の高性能エンジン)など、広く一般産業分野への適用も期待できます。(本文終わり)
核融合炉燃料の生産に新技術
日本原子力研究開発機構(JAEA、鈴木篤之理事長)は22日、六ケ所村の国際核融合エネルギー研究
センターで、核融合炉の燃料生産に必要な材料の新たな製造技術の開発に世界で初めて成功した-と発表
した。成果は、フランスで建設中の共同プロジェクト「国際熱核融合実験炉(ITER)」における燃料生産試験を
より確実にできるとして関係者が期待を寄せている。
JAEAによると、核融合炉の燃料であるトリチウムを効率良く生産するには、中性子を増やす元素「ベリリウム」
が必要なため、ベリリウムと金属を化合した「ベリライド」という化合物を使う。
これまでベリライドの製造は、原料の粉末を加熱して固める「粉末冶金(やきん)法」で行われた。しかしベリリ
ウムの表面が酸化しやすいため加熱で酸素が入り込み、もろくて加工しにくいベリライドしかできなかったという。
JAEAは粉末の表面にパルス電流を与えてから加熱する「プラズマ焼結法」に着目。電流で表面の酸素を取り
除き、加工性に優れた棒状のベリライドを製造することが可能になった。
ベリライドは核融合炉の中核部分「ブランケット」で使われ、トリチウムを生産するが、棒状より微少な球状とする
ほうが効率良く使えるという。JAEAは、棒状のベリライドから直径1ミリの微小球を製造する技術の確立にも世界で
初めて成功した。一連の方法について既に特許申請したという。
開発の中核を担ったJAEA核融合研究開発部門ブランケット照射開発グループの中道勝グループリーダーは
本紙取材に「(ITERの次の段階である)原型炉の材料供給にもめどが立った。画期的成果と自負している」と
手応えを語った。
東奥日報 2012年6月23日(土)
URLリンク(www.toonippo.co.jp)
>>3あたりに続く