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理研とNEC、超電導の新現象発見 正確な電流測定に活用
理化学研究所の蔡兆申チームリーダーらはNECと共同で、超電導物質が示す新たな物理
現象を発見した。磁力線の最小単位である「量子磁束」が、極めて薄い超電導物質をすり
抜ける現象。超電導に関係する代表的な物理現象は、これまで5つ見つかっており、うち4つの
発見者はノーベル賞を受賞している。研究成果は19日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に
発表する。
この現象を使うと正確に電流を測ることができる。長さや重さなどにある標準となる値が、電流
ではこれまで他の標準値から間接的にしか出せなかったが、標準値の決定が可能になるという。
新現象は、これまでに見つかっている5つの物理現象のうちのジョセフソン効果と物理学的に
正反対の現象で、2006年に理論的に予測されていたが、今回実験で初めて確認した。新しい
原理で動く素子の開発にもつながると期待される。
日本経済新聞 2012/4/19 2:00
URLリンク(www.nikkei.com)
磁束が超伝導材料の細線を量子的にトンネルする現象を確認
-超伝導現象の重要な理論的予言をついに実証-
URLリンク(www.riken.go.jp)
数学や物理学で「双対」という言葉に出会うことがあります。相対(そうたい)と区別するために
「そうつい」と読まれることが多いようで、2つの事象がお互いに「裏返し」の関係にあることを示す
そうです。だから双対の双対は元の事象に戻ります。何やら難しくなってきましたね。
超伝導や量子の世界も難しいのですが、少し覗いてみましょう。超伝導の分野でブレイク
スルーとなったのは、ジョセフソン効果の発見です。超伝導体の電子対が絶縁体(空間)を
トンネル(透過)することによって超伝導電流が発生する現象です。この現象を応用して開発
された磁気共鳴画像装置(MRI)などは、今では産業、医療分野に欠かせない技術です。
このジョセフソン効果と量子力学的に“双対”な現象が「コヒーレント量子位相スリップ(CQRS)」
効果です。この現象は、磁束がエネルギーを失わずに量子的に超伝導体を横切る現象です。
ジョセフソン効果では電子対の障壁は絶縁体ですが、CQRS効果では磁束の障壁が超伝導
体ということになります。基幹研究所物質機能創成研究領域の研究者らは、このCQRS効果の
証明に挑戦しました。
研究チームは、酸化インジウムの薄膜で微細な超伝導細線と超伝導ループを組み合わせた
超伝導磁束量子ビットを作製しました。これに外部から磁場と光(マイクロ波)を与え、量子
ビットのエネルギー状態を調べたところ、約5GHzのエネルギーギャップを観測し、磁束が超伝導
細線をトンネルしたことを確認しました。これは、CQRS効果を実証するとともに、ジョセフソン
効果を用いない新しい量子ビットの試作が成功したことを意味します。CQRS効果はジョセフソン
効果と量子力学的に双対ですから、ジョセフソン効果でできることは、CQRS効果を使ったデバ
イスでも実現可能だと考えられます。
また今回の成果によって、「量子電流標準」が構築できる可能性が高まりました。標準を構築
することは、単位を定義付けることで、産業利用などに普及するために重要なプロセスです。
量子電圧標準や量子抵抗標準は実現しているのですが、技術的な問題で量子電流標準
だけが未だ実現していません。もしこれが実現すると、「量子三角形」と呼ばれる標準系が初めて
完成し、産業や科学技術の根幹を担う電気標準の分野に画期的な新基軸の構築が期待
できます。
理化学研究所プレスリリース 平成24年4月19日
URLリンク(www.riken.go.jp)
Coherent quantum phase slip
O. V. Astafiev, L. B. Ioffe, S. Kafanov, Yu. A. Pashkin, K. Yu. Arutyunov, D. Shahar, O. Cohen & J. S. Tsai
Nature 484, 355-358 doi:10.1038/nature10930
URLリンク(www.nature.com)
>>2辺りに続く