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東大、東工大との共同研究で強誘電性カラムナー液晶材料の開発に成功
カラムナー液晶においてカラム軸に平行な自発分極を持つ強誘電性を確認
―超高密度メモリー素子への挑戦-
URLリンク(www.t.u-tokyo.ac.jp)
<概要>
東京大学大学院工学系研究科の相田卓三教授、宮島大吾博士課程学生は、東京工業大学大学院
理工学研究科の竹添秀男教授、荒岡史人助教らとの共同研究で、世界で初めて、強誘電性カラムナー
液晶材料の開発に成功いたしました。この物質を利用することで、従来とはまったく異なる方法で簡便に超
高密度メモリー素子を作製できることが期待されます。また、強誘電性材料の開発に今までにないアプローチを
与えるほか、液晶材料の新たな応用可能性を提示するものです。これまでに多くの研究者が試みてきたにも
かかわらず、誰も実現できなかった強誘電性カラムナー液晶(図1)を実現したという意味で、基礎科学的にも
極めて重要な成果です。本研究成果は、4月13日付の米国科学雑誌「Science」電子版に掲載されました。
<研究の背景と経緯>
液晶が発見されてから120年余が経ちましたが、現在では「液晶」と言えば「液晶ディスプレイ」を指すほど、
液晶の応用は表示素子に特化されています。今では、薄型テレビのうち約9割、パソコン用ディスプレイでは
ほぼ全ての出荷が液晶表示素子によるものです。しかしながら、液晶そのものの応用はディスプレイにとどまり
ません。液晶ならではの、自己組織性、環境による構造制御性などといった特性を利用し、様々な応用が
検討されています。今回の強誘電性カラムナー液晶の発見によってもたらされるもう一つの応用可能性が高
密度メモリー素子です。
近年の情報社会におけるデータ量の飛躍的増大に伴い、高密度メモリー素子の開発は必要不可欠となって
います。そのような高密度メモリーとして、磁気ディスク、半導体素子、光記録素子、強誘電体素子などが研究・
開発され、実際に我々の身の回りで使われているものも多くあります。今回の我々の報告にあるような自己組織
化の可能な液晶材料は、ほぼ分子サイズという細かい記録(=高記録密度)を与えることが可能となる(図2)
ほか、塗布などによる簡便なデバイス作製プロセス、貴金属元素フリー、軽量化などの多くの利点があると考え
られます。このような目的を達成するために世界中の多くの研究者が努力していましたが、原理的な難しさが
故に半ばあきらめられかけていました。今回の報告はこのような「カラムナー液晶からなる強誘電材料」を実現
したものです。
<研究成果>
強誘電性カラムナー液晶材料の実現を可能にしたのは、緻密にデザインされた分子設計(図1(a))です。
この分子は円錐状分子集合体を形成し、積み重なることでコア-シェル構造のカラムを形成します。コア-
シェル構造のコア部ではカラム中心(円錐頂点)に位置するシアノ基が分極を担い、シェル部では嵩高い側鎖
が円柱間の相互作用を制御し液晶性を担います(図1(b))。コアとシェルの中間にはアミド基によって形成
される水素結合ネットワークがあり、これにより中央の分極を安定化させる設計になっています(図1(c))。
安定化が弱いと電場を切った時に分極を保持できず、かといって安定化が強すぎると分極を反転させることが
できなくなってしまいますが、類似化合物を多数合成した結果、絶妙なバランスによりこれが達成できることを
発見しました。また本液晶材料は電場を印加するだけで、メモリー素子として最適な方向に一様に配向する
ことが出来ることが明らかとなっています。そのため本材料は、安価で大面積化に優れた溶液プロセスでの
デバイス作成が可能であることが明らかになりました。
>>2辺りに続く
東京大学大学院工学系研究科プレスリリース 2012/04/13
URLリンク(www.t.u-tokyo.ac.jp)
URLリンク(release.nikkei.co.jp)
Ferroelectric Columnar Liquid Crystal Featuring Confined Polar Groups Within Core–Shell Architecture
Daigo Miyajima, Fumito Araoka, Hideo Takezoe, Jungeun Kim, Kenichi Kato, Masaki Takata, Takuzo Aida
Science 13 April 2012: Vol. 336 no. 6078 pp. 209-213 DOI: 10.1126/science.1217954
URLリンク(www.sciencemag.org)