12/03/24 02:36:10.29
創造性の高め方
(本文略、>>2以降に)
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Philip Montgomery for The Wall Street Journal; Illustrations by Serge Bloch
創造性を高める簡単な10の工夫
1.青色を多用する
2009年のある調査では、リラックスと連想思考を促す青色に囲まれていた被験者は最大2倍の数の洞察パズルを
解いた。一方で赤は人々の注意や意識を喚起するので、分析的な問題を解決するのに向いている。
2.意識をもうろうとさせる
今年2月発表された研究によると、さまざま創造性パズルを被験者に解かせたとき、1日で最も注意が散漫になる
時間―たとえば夜型人間にとっての朝―のパフォーマンスはかなり向上し、成功率が50%上昇することもあった。
ふらふらの状態の方が創造性の火花が散るようだ。
3.空想し続ける
カリフォルニア州サンタバーバラ校のジョナサン・スクーラー氏が率いた研究では、さまざまな創造性テストにおいて、
より長い時間空想する被験者の方が高い点数を出すことが分かった。
4.子供のように考える
指示されて自分のことを7歳児だと想像している被験者は、たとえば古タイヤの違う活用法を考案すべし、といった
拡散的思考のテストで大幅に高い点数をだした。
5.大いに笑う
短い漫談のビデオを見せられた被験者は、約20%多くの洞察パズルを解いた。
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Serge Bloch
6.遠くにいる自分を想像する
インディアナ大学で行われた研究によると、被験者のパフォーマンスは、パズルが地元の研究所ではなく、ギリシャや
カリフォルニアから来たものだと言われたときの方がずっと良かった。
7.より一般的な動詞を使う
問題解決能力を高める方法の一つに、その問題の説明に使われている動詞を変えるというのがある。動詞が極端に
具体的だと、人々は狭い範囲で考えがちになる。その反対により一般的な動詞を使うと―たとえば「運転する」の
代わりに「移動する」を使う―解いた問題の数は劇的に増加し得る。
8.枠組みの外で仕事をする
新しい研究によると、創造性の標準テストにおいて、5平方フィートの作業空間の外に座らせられたときの被験者の
パフォーマンスは大幅に向上した。これはおそらく、被験者が「既成の枠組みにとらわれない考え方をする」というたとえを
内在化させたからだろう。パーティションで小さく区切られた作業空間に足を引っぱられてはいけない、というのが教訓である。
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Serge Bloch
9.世界を知る
アダム・ガリンスキー氏が率いた研究によると、海外に住んだ経験がある学生は洞察パズルを解く可能性が圧倒的に
高いということがわかった。別の国の文化に触れたおかげで、貴重な柔軟性や寛容さが身についたのだろう。この効果は
専門職種に就いている人にも当てはまる。海外に住んだ経験があるファッションハウスのディレクターは作る服は創造性が
かなり高いと同業者たちに評価されている。
10.大都市に引っ越す
サンタフェ・インスティテュートの物理学者たちは、発明家たちが小さな都市からその倍の規模の都市に引っ越すことで、
特許権を約15%も多く取得することができることを発見した。
Jonah Lehrer/The Wall Street Journal 2012年 3月 13日 17:13 JST
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>>2辺りに続く
2:pureφ ★
12/03/24 02:37:25.78
創造性は魔法のように見えることがある。スティーブ・ジョブズやボブ・ディランを見ていると、われわれ普通の
人間にはない超自然的な力、これまでに存在しなかったものを想像する才能を持っているに違いないという
結論に達する。彼らはクリエイティブなタイプで、われわれはそうではないタイプなのか。
創造性は魔法ではなく、クリエイティブなタイプなどというものも存在しないのである。創造性は遺伝子によって
受け継がれる特徴ではなく、天使によって授けられる恵みでもない。それは技術であり、創造的になること、創造
性をより豊かにすることは誰にでも可能だ。最新の研究は、人々がなにをもってして世界を変えるような製品を
開発したり最も難しい問題を解決したりするのか、を解明しようとしている。創造性とはなにか、われわれの
日常や仕事でひらめきを得るにはどうすればいいのか、に関して驚くほど具体的な教訓が浮かび上がってきた。
創造性の科学的な研究は比較的新しい。啓蒙主義が唱えられるまで、想像力を働かせることは常に崇高な
力と結び付けられてきた。創造性豊かであることは、ミューズと交信することであり、神々の声を伝えることを意味
していた(インスピレーションという言葉は文字通り「息を吹きかけられる」という意味である)。現代においてさえも、
科学者たちは創造性の根源にほとんど見向きもしてこなかった。
しかしこの10年間で状況は一変し始めた。かつて想像力は他の知覚とは別個のものだと思われていた。最新の
研究はこうした前提が誤りであることを示唆している。われわれは「創造性」という言葉をさまざまな認知ツールを
指す包括的な言葉として使ってきたのである。それぞれの認知ツールは特定の問題に適用され、特定の行動を
促している。
われわれが直面している問題に直感的なひらめきや突然の意識の飛躍は必要だろうか。それとも1つずつ、
徐々に解けていく問題だろうか。リラックスをするためにビールを飲むべきか、奮い立たせるために「レッドブル」を
飲むべきか、長いシャワーを浴びるべきか、会社で残業すべきかは、その答えで決まる。
新しい研究は、最も厄介な問題への最善の取り組み方についても明らかにしている。われわれはその分野の
専門家こそが創造的才能の持ち主と考えがちである。ところが大発見や大躍進は素人の単純で大胆な発想
から生まれることが多いのだ。創造性を刺激する上で非常に重要なのが、自分の専門分野以外での交流に
費やした時間である。
まずは最も難しい問題、一見すると不可能に思えるような課題から始めよう。こうした問題が解決されるとしたら、
それは直感的なひらめきによって解決されることが多い。
米複合企業スリーエム(3M)の紙製品部門に勤務していたエンジニア、アーサー・フライ氏の場合はこうだった。
1974年の冬、フライ氏は接着剤の開発に取り組んでいたエンジニア、シェルドン・シルバー氏のプレゼンテーションを
聴いていた。シルバー氏は粘着力が非常に弱い(2枚の紙がかろうじてくっつく程度の)接着剤を開発していた。
部屋にいた皆と同様、フライ氏もそのプレゼンを辛抱強く聴いたが、その合成物の実際的な用途は1つも思い
つかなかった。粘着力の弱い接着剤がなんの役に立つというのか。
ところがある寒い日曜日の朝、どちらかというと意外な場所で、フライ氏はその接着剤のことを思い出す。教会の
聖歌隊のメンバーだった同氏は、その日に歌う讃美歌のページがすぐに開けるように、讃美歌集に小さな紙切れを
はさんでいた。ところがその紙切れはよく落ちてしまい、フライ氏はその礼拝のあいだ讃美歌集のページを慌てて繰る
ことを余儀なくされた。それは日常によくある厄介だが解決できないので我慢せざるを得ない問題のように思えた。
フライ氏にあるひらめきが起きたのは、いつになく長い説教を聞いていたときだった。粘着力の弱い接着剤を活用
する方法を不意に思いついたのである。それを紙に塗布すれば、再利用できるしおりになるではないか。その接着
剤の粘着力は非常に弱いので、ページにはくっつくが、はがすときにそのページが破れるということはなさそうだった。
世界で最もよく使われている事務用品の1つ、「ポスト・イットノート」は、教会で受けたこの”お告げ”がきっかけで
誕生したのである。
つづく
3:pureφ ★
12/03/24 02:38:03.29
フライ氏の発明は典型的な一瞬のひらめきから生まれた。皮脳が突然解決策を見出したようなひらめきは、
どこからともなくやって来るように思えるが、科学者はそれがどのように起きるのかを研究し始めた。その方法は、
被験者に以下のような洞察パズルを解かせ、脳の活動状況を観察するというものである。
ある小さな町に20人の女性と結婚した(married)男性がいる。すべての女性は健在で、離婚もしていない。
男性は法律を犯していない。この男性とは誰か。
この問題が解けたとしたら、その答えはまばゆい閃光のごとく浮かんだのではないだろうか。この男性は牧師で
ある。「marry」という単語には「(人と)結婚する」という意味の他に「~の結婚式を行う」という意味もあるのだ。
マーク・ビークマン氏とジョン・クーニアス氏が主導した研究では、その閃光がどこから来るのかがほぼ特定された。
ひらめきが起きる数秒前、脳の前部上側頭溝(aSTG)と呼ばれる部分の活動が急激に増すことがわかったので
ある。脳の右半球の表面にあるこの部分は、遠く関連した情報を結び付けることに長けており、これこそが創造性を
要する難しい問題を解くときに必要なことなのである。
興味深いのは、人がひらめきを得る確率を高め、aSTGが生み出す答えを検知しやすくする特定の要因がビーク
マン氏と同僚たちによって発見されたことである。たとえば、被験者に短めの滑稽なビデオ―科学者たちはロビン・
ウィリアムスの漫談を使用した―を見せると、その平均正答率は約20%も上がった。
アルコールにも効果がある。イリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究者たちは今年、しらふの学生と酔った学生に
洞察パズルを解かせ、そのパフォーマンスを比較した。科学者たちは被験者たちに遠隔連合という名で知られる
一連の単語問題を出した。被験者は3つの単語のそれぞれと一緒に使われる共通の単語を見つけなければ
ならない。たとえば次のような単語だ。
Pine(マツ) Crab(カニ) Sauce(ソース)
この場合、答えは「apple」である。「pineapple(パイナップル)」、「crab apple(野生リンゴ)」、「apple sauce
(アップルソース)」という言葉が存在するからだ。酔った学生は、しらふの学生よりも30%ほど多く正解を出した。
リラクゼーションと酒が創造性にもたらす効果をどう説明すればいいのだろうか。その答えは、意外にも集中して
いないことの強みである。われわれは集中力を崇拝する時代に生きており、常に集中することを強いられてカフェ
イン飲料をがぶ飲みしたりしているが、このアプローチは想像力を抑制しかねない。集中はしているかもしれないが、
それは誤った答えに対する集中なのだろう。
ではリラクゼーションが有効なのはなぜか。われわれは、シャワーで疲れが癒されたり、漫談で注意がそらされたり
するまで、内面の集中のスイッチを切ることや脳の右半球の奥で展開されているでたらめな連想に耳を傾けることが
できないのである。洞察が必要なとき、こうした連想は往々にして答えの出所になるものだ。
この研究は、あまりにも多くの大発見がかなり意外な場所で起きている理由をも裏付けている。アルキメデスは
浴槽で浮体の原理に気付き、物理学者のリチャード・フェインマンはストリップクラブで数式を書いていたではないか。
グーグルが社屋のロビーに卓球台を置いていることや空想することの実益が再確認されたのである。かのアイン
シュタインもこう述べている。「創造性とは無駄にした時間の残留物なのだ」
無論、すべての創造的な課題にひらめきが必要なわけではない。シャワーを浴びてリラックスすることですべての
問題が解決されることはないだろう。ときにはビールの酔いから来る仮眠をしたいという気持ちと闘って集中し続け
なければならないこともある。
ほぼ汗と失敗から成り立っているこうした創造性にはなんの面白みもない。ページに書き込まれた赤ペンの文字、
丸めて捨てられたスケッチ、破棄された試作品、納得のいかない第一稿などである。ニーチェはこれを「拒絶プロ
セス」と呼び、大きなひらめきを自慢したがるクリエーターの日々の現実はそれほどロマンチックではないと指摘した。
ニーチェは「すべての偉大な芸術家、思想家は、偉大な努力家である」と書いている。
つづく
4:pureφ ★
12/03/24 02:38:55.53
このような弛まぬ努力から来る創造性を見事に体現したのが、「芸術は努力」というスローガンをオフィスのドアに
刻み込んでいた伝説的グラフィックデザイナー、ミルトン・グレイザー氏だ。グレイザー氏の最も有名なデザインは、
こうした労働意欲のたまものである。当時、崩壊しつつあったニューヨークのイメージを回復させるような新たな宣伝
キャンペーンを作るという大仕事を同氏が引き受けたのは1975年のことだった。
グレイザー氏はさまざまな親しみやすい書体で書かれた観光スローガンを並べて実験し始めた。数週間の作業の
後、丸みを帯びた字体で書かれた「I Love New York」を白地に配置するという魅力的なデザインに落ち着いた。
同氏の原案はすぐに承認された。「誰もが気に入ってくれた」と同氏は振り返る。「私が普通の人間だったら、その
プロジェクトのことを考えるのをやめていただろう。でも私にはできなかった。どこか納得がいかなかったのだ」
そこでグレイザー氏はデザインについて考え続け、すでに終わったはずのプロジェクトに時間を費やした。そして数日
作業した後、同氏はマンハッタンの渋滞にはまったタクシーの後部座席に座っていた。「私はポケットに予備の紙を
入れていたので、それを取り出してデザインを描き始めた」と同氏は回想する。「考えながら描いているとひらめきが
起きた。頭の中に全体像が浮かび、その書体や真ん中に置かれた丸みを帯びた赤いハートが見えた。このデザインで
行くべきだと直感したのだ」
グレイザー氏が渋滞にはまっているあいだに思い付いたロゴはその後、世界で最も模倣されるグラッフィクアートの
一つとなった。同氏が考えるのをやめていたら、そのデザインが生まれることはなかったのである。
しかし、これによって新たな疑問が提起される。さまざまに異なった創造的問題に対して異なった種類の創造的な
考え方が有効だとしたら、そのやり方やタイミングが正しいものだということをどうすれば確信できるのだろうか。われ
われはいつ空想すべきで、いつリラックスした散歩に出かけるべきなのか。スケッチし続けるべきとき、可能性を模索し
続けるべきときはいつなのか。
幸運なことに、人間の頭脳には必要な種類の創造性にアクセスする能力が生まれながらにして備わっている。
研究者たちはこうした直感や洞察を「既知感」と呼び、それは考え続けさえすれば答えが見つかるとわれわれが
思った時に発生するという。洞察を必要としない問題に関して人間の頭脳は、問題が解決され得る可能性を
評価することに非常に長けているということが多くの研究で示されている。その答えを知らなくても、それに近づいて
いるか否かが判断できるのである。
その進歩を計算する能力は、創造的プロセスの重要な部分である。答えに近づいていないと感じるとき―
言わば、壁にぶつかった状態―われわれはおそらく洞察を必要としている。既知感がないとき、われわれにできる
最も生産的なことは仕事のことをしばらく忘れることだろう。しかし、既知感が答えは近いと知らせてくれているとき、
われわれはもがき続けなければならない。
もちろん、一瞬のひらめきタイプの問題も、コツコツ取り組まなければならない問題も、頭のどこかで解決しようと
している創造的な問題には答えがあるということが前提となっている。両者ともそれを引き出す手段に過ぎないので
ある。頭の中で必要な原料が駆け巡っていないときは、また違うタイプの創造的な問題となる。創造性をより豊かに
したいのなら、自分にできる最も重要なことは触れる情報の量と多様性を増やすことである。
スティーブ・ジョブズの有名な言葉に「創造性とは物事を結び付けるだけのことだ」というのがある。発明家はどこから
ともなく大発明を思い付くと考えがちだが、ジョブズ氏は最もありそうもない概念ですらたいては既に存在しているものの
新たな組み合わせでしかないと述べていた。たとえばアップルは、ジョブズ氏のリーダーシップの下、MP3プレーヤーも
タブレット型コンピューターも発明しなかった。同社はそうしたものを改良し、その商品カテゴリーには新しい設計特性を
加えたのである。
つづく
5:pureφ ★
12/03/24 02:39:27.07
これはアップルだけに言えることではない。発明の歴史はジョブズ氏の説を裏付けている。ライト兄弟は自転車製造
業者から飛行機の発明家に転身した。彼らの最初の飛行機は多くの点で翼のついた自転車だった。ヨハネス・
グーテンベルクはワイン絞り器の知識を大量の文字が印刷できる印刷機に応用した。グーグルの創業者である
ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏はインターネット上の学術論文に使われていた序列法(引用が多いほど影響力も
大きい)を適用することで、有名な検索アルゴリズムを開発した。
このように物事をうまく結び付けて考えるにはどうすればいいのか。ジョブズ氏によると、最高の発明家は「多様な
経験」を追い求め、あとでつなげるための点を収集するのだという。狭い範囲の特殊技術を磨くのではなく、ジョブズ
氏のようにカリグラフィー(西洋書道)を学んだり、異なった分野の友人と付き合ったりするのである。答えはどこから
くるかわからないので、あらゆる場所で探すことに前向きなのだ。
最近の研究はジョブズ氏の知恵を裏付けている。たとえば社会学者のマーティン・ルーフ教授はスタンフォード・
ビジネス・スクールを卒業して起業した766人の社会的・ビジネス的関係を分析した。同氏は友人関係に最も
多様性がある企業家は新しいアイディアの測定基準で3倍高いことがわかった。彼らは同調という型にはまるのでは
なく、広範囲な社会サークルでの経験を利益が上がる新しいコンセプトに転換させることができたのだ。
最も革新的な企業の多くは、従業員がこうした多様性がある人的ネットワークを築くことや、まったく違う分野の
同僚と交流することを推奨している。グーグルはクレイジー・サーチ・アイディアズと呼ばれる社内会議―考え得る
あらゆる分野からの数百枚のポスターが展示される大人版科学展―を開いている。3Mではエンジニアたちが
だいたい数年ごとに新しい部門に配属替えとなる。こうした配属替えはときに大きな見返りをもたらすことがある。
たとえば3Mが、ラップトップ・コンピューターのバッテリー寿命で本当に問題なのは、画面を明るくするのが速すぎる
せいで電力が消費されているということに3Mが気づいたときである。3Mの研究者たちは、透明接着剤の知識を
適用して光の射出方向を外側に集中させ、省エネ効率を40%高める光学フィルムを開発した。
誰かがまったく斬新な質問をすることで問題が解決することは、「メンタル・リストラクチャリング(精神的再編)」と
呼ばれている。興味深いのは専門知識がそうした再編を抑制し、突破口を見つけにくくする点である。新しい
アイディアを自分の専門分野だけではなく、部外者という立場と愚直な質問ができるという大きなメリットがある
他の分野の問題を実際に解決しようとすることが重要である。
この原理は、科学的な難題をクラウドソースするウェブサイト、インノセンティブで日々機能している。サイトの構造は
単純だ。企業は最も難しい研究開発課題を報奨金付きで掲載する。サイトでは農学から数学まで、8つの科学
分野に分類される数百の企業から掲示された問題が閲覧できる。多国籍食品企業が「低脂肪でチョコレート味の
コーティング剤」を探していたり、電気機器メーカーが太陽電池で稼働するコンピューターを設計しようとしていたりと、
そのサイトの課題は信じられないほど変化に富んでいる。
だが、インノセンティブに関して最も優れている点はその効率の良さだろう。ハーバード・ビジネス・スクールのカリム・
ラカーニ教授は2007年、サイト内に掲示されている数百もの課題の分析を始めた。ラカーニ教授のデータによると、
インノセンティブに掲載された難題の30%近くが6カ月以内に解決されたという。ときには掲載後数日で解決される
課題もある。その秘密は部外者的な考え方になる。インノセンティブの問題解決者たちが最も効率的なのは、
自分の分野の辺縁にある課題に対してである。化学者たちは化学の課題ではなく、分子生物学の課題を解決し、
分子生物学者たちは化学の課題を解決している。こうした人々はその課題を理解できるほどその分野に近しいが、
その知識は、専門家がぶつかったのと同じ壁にぶつかるほど詳しいということもない。
すべての先入観や失敗への不安から解放され、初心者として課題に取り組む能力こそ、創造性への鍵である。
つづく
6:pureφ ★
12/03/24 02:39:36.90
作曲家のブルース・アドルフがニューヨークのジュリアード音楽院で初めてヨーヨー・マに会ったのは1970年のことだった。
マ氏はすでにホワイトハウスでケネディ大統領のために演奏したことがあったが、当時はまだ15歳だった。アドルフ氏は
初めてのチェロ用の楽曲を書いたばかりだった。「残念ながら、自分でもなにをしているのかわからなかった」とアドルフ
氏は振り返る。「その楽器のための曲は書いたことがなかったから」
アドルフ氏がその曲の草稿をジュリアードの教授に見せると、その曲には演奏が不可能なコードが含まれていると
言われた。ところがアドルフ氏が曲に手直しを加える前に、マ氏は寮の部屋でその曲を演奏してみることにした。
「ヨーヨーは楽譜を見ながら私の曲を最後まで演奏した。演奏が不可能なコードの箇所に来ても、彼はどうにか
弾きこなしていた」
アドルフ氏は教授に言われたことをマ氏に告げ、演奏が不可能なコードをどのように弾いたのか聞いた。マ氏は
再度その曲を演奏していき、演奏不可能なコードの箇所でアドルフ氏が大声を上げた。「やめろ」2人がマ氏の
左手に目をやると、その指は指板上でよじれ、弦をほとんど押さえられない状態になっていた。「君の言う通りだ。
ここの演奏は無理だよ」とマ氏が言った。だが、彼は演奏できたのである。
マ氏は今日でも、演奏するときは初心者の気持ちでいようと努力する。「チェロを習っている子供のように奔放に
演奏しろと自分に常に言い聞かせなければならない」とマ氏は言う。「子供はなぜ演奏するのか。それは演奏が
楽しいからだ」
創造性は火花のようなものだ。2つの石を擦り合わせてなにも出なかったら、苦痛なだけである。その反対に火花
から炎を得て、そのアイディアが世界中に広まると、かなりの満足感を味わうことができる。
人類の歴史上初めて、より多くの火花を散らす方法や、そこからより多くの炎を得る方法を知ることができるように
なった。とはいえ、われわれは誠実でもあるべきだ。そのやり方をいくら学んでも、創造性を豊かにするプロセスは決して
簡単ではない。われわれの発明には不確実性と新たな結び付けを行っている脳細胞の偶然になにかを見つける
才能という影が常に付きまとうことになる。
創造性の物語には同じものなど一つとしてないが、すべてに共通して言えることもある。なにもないところからなにかが
生まれる。それはほとんど魔法のようである。(中略部分終わり)
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7:名無しのひみつ
12/03/24 02:42:06.56 1B3e5Cpi
うん。