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巨大太陽嵐:10年以内に起こる確率は「12%」
今後10年間で巨大太陽嵐が起こる確率は12%だとする論文が発表された。GPS衛星システムや通信
ネットワークのほか、送電網を始めとするインフラ等へ幅広く影響する可能性があるという報告書も提出
されている。
URLリンク(wired.jp)
Image: NASA
今後10年間で太陽からメガフレアが放出される確率はおよそ12%だとする論文が発表された。こうした
巨大太陽嵐によって、人間社会には数兆ドルに上る被害が生じ、復興には最大で10年かかる可能性が
あるという。
記録に残っている限り最も巨大な太陽嵐は、「キャリントン事象」と呼ばれる。これが起こったのは150年
以上前の1859年だ。
この事象に匹敵する太陽風が今後10年間に発生する確率が10%以上あるということに、宇宙物理学
者のピート・ライリーは驚いた。ライリー氏はカリフォルニア州サンディエゴにあるPredictive Science社の
上級科学者で、2月23日付の『Space Weather』にこの予測を発表した。
太陽の活動は、11年周期で活発と不活発を繰り返している。太陽活動極大期には、多くの黒点が見られ、
巨大な磁気嵐が表面から吹き上がる。時折、こうしたフレアが太陽から外に向かって爆発し、大量の荷電
粒子を宇宙に噴出する。
小規模な太陽フレアは頻繁に起こるものの、巨大な太陽フレアはめったに起こらず、べき乗則として知られる
数学的分布を見せる。ライリー氏は過去のデータベースを調べ、太陽フレアの規模と頻度の関係を計算
することによって、巨大太陽フレアの発生確率を推定した。
[例えば南極の氷床コアを調査することにより、荷電した粒子が大気中の窒素と反応してできる、窒素
化合物の濃度が上昇している部分を見つけることができ、これをそれぞれの年代の大気の状態の記録と
して利用することができる(日本語版記事)]
キャリントン事象が発生した1859年9月1日の朝、[それまで5年間にわたって太陽黒点の観察を続けていた
イギリスの]天文学者リチャード・キャリントンは、太陽表面に異常を観測した。巨大な太陽フレアが発生し、
時速およそ640万kmで移動する粒子の流れが地球に向かって放出されたのだ。通常は極地地方でしか
見られないオーロラが、ニューヨークのほか、キューバやハワイ、チリ北部でも観測された。
大量の荷電粒子は、オーロラを生じさせるだけでなく、電気的システムに対して破壊的な影響がある。キャリン
トン事象の場合は、電信局では火災が起こり、通信網は大規模な障害に見舞われ、磁気観測所は文字
通りメーターの針が振り切れるほどの乱れを記録した[キャリントン事象についてより詳しく紹介した日本語版
記事はこちら]。
電気への依存度が非常に高くなった現代社会では、キャリントン事象と同規模の太陽嵐が生じた場合、
破局的な結果につながる可能性がある。GPS衛星システムに障害を与え、無線通信が完全に途絶える
可能性すらある。
さらに、たとえば1989年の磁気嵐のときには、カナダの水力発電会社Hydro-Quebec社の送電網が90秒
以内に破壊され、9時間以上にわたって数百万世帯に電力を供給できなくなった(日本語版記事)。こうした
停電は、石油やガスのパイプラインにも影響するかもしれない。[さらに、原子力発電所の核燃料は(炉の
停止後も長い期間にわたって)崩壊熱を発し続けるので、長時間冷却が滞ると過熱を起こし事故につながる]
米国学術研究会議(NRC)が2008年に出した報告書(日本語版記事)によると、キャリントン・クラスの太陽
嵐が生じた場合に米国が被る被害総額は、最初の年だけで1~2兆ドルに上り、完全復興までには推定で
4~10年かかる可能性があるという。
TEXT BY Adam Mann TRANSLATION BY ガリレオ -天野美保/合原弘子
WIRED NEWS 2012年3月2日
URLリンク(wired.jp)
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